昼、ツンデレな幼馴染と屋上でお弁当を食べる。
「どーしたのよ。屋上のドアの前で寂しく体育座りなんてして」
「今のアンタ、ご飯おあずけにされた犬っころみたいよ。え、空いてない? 当り前よ。鍵はアタシが持ってるんだもの」
「一般生徒に屋上の鍵が渡されるわけないじゃない。アタシは生徒会長だから適当に理由さえつけてれば気軽に借りられるのよ」
「というか、こうでもしないと学校でアンタと二人っきりになれないし……」
「……って、何ドアの前でボサッと突っ立ってんのよ! さっさと行きなさいよ! お昼終わってアンタとゆっくり過ごせる時間減っちゃうじゃない! ……ふぇ?」
「あれ、もしかして声に出て……た……?」
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「アンタのママから、出張の間分のご飯の材料費はもらってるわ。だ、だから、遠慮はしなくていいから。……あ、後、美味しくなかったらムリヤリ食べなくても……って、食べるの早いわね⁉」
「ど、どう? 味、変じゃない?」
「味が俺好み、ね。……ふふっ、良かった。卵焼きもちゃんと甘くなってるでしょ?」
「昨日の夜、お布団で言ってたもんね。卵焼きは甘いほうが好きって」
「あとこれ、タコさんウィンナーも作ってみたの。アンタ、昔から遠足のお弁当にはいつも入ってたものね。好きだったでしょ?」
「よく覚えてるな……って、忘れるわけないじゃない。アンタとの思い出は全部、忘れてやらないんだから」
「あとこれ、アスパラの肉巻きも。昨日ね、ネットでレシピ検索してたら良いサイトが見つかったのよ。はい、あーん」
「ほら、こないだ隣のおばあちゃんからアスパラもらったじゃない? アタシがアンタのおうちにしばらく住むってこと知ってから、すっごく色々頂いちゃうようになったんだけどね」
「なぁにが『いよいよやねぇ』よね。ホント、気が早いったらないわ! アンタからもおばあちゃんに言っておいてよ。まだアタシたち高校生でしかないんだからって」
「お、俺はそれでもいいって、アンタ、それ本気で……うぅ……? うぅ……バカ。はやくそれ全部食べちゃいなさいよ……おバカ……」
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
「そ、そういえば。アンタ今日、クラス委員で帰り遅くなるんだっけ?」
「ん、分かった。晩ご飯も作ってあげるわ。し、仕方なく! 仕方なくだから! 何か食べたいものはある?」
「なんでもいいって……。一番困るのよね、そういうの。なんでも、なんでも。うーん、難しいわね。まぁ、いっぱい考える時間はあるか……」
「いいわ。アンタの要望に応えてやるから、その代わり! その代わり、その……」
「い、委員会が終わったらさっさと一直線に帰ってきなさいよね! 借りてた映画も一緒に、その、見たいから……」
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