第83話 アプリ、YUMI②

 俺は煙をチャージしながら、スマホを手に持っている。


「フウゥゥゥー………」


ーーーーーーー


おろちぃ

(カッコいい先生、お願いがあるニャ!)


先生

(ヤダ)


おろちぃ

(まだニャにも言ってないニャ……ショボーン……)


まいちゃん!

(先生頼む!! おねがい☆)


先生

(増えてもヤダ)


おろちぃ

(ひどい! もう怒ったニャ!! プンプンプンプン!!)

(汚してやるニャ!! ピーーー♡)


まいちゃん!

(キャーー先生ーー助けてぇぇぇぇ)


まんじゅう

(いったい、何の話ですの?)


ーーーーーーー


「戻りたくねぇ……もう1本いくか」


 俺は吸い殻を捨て、2本目をカートリッチに装填する。


〈ピコンピコン〉


ーーーーーーー


狐の巫女

(わかった! 身体で払うニャ♡)

(優しくしてニャ♡)


先生

(妖狐のスマホを乗っ取るなよ……)


おろちぃ

(じゃあ……秘密を告白するニャ!!)

(実はニャーーーーもにょもにょ……)


まいちゃん!

(なになに!? 気になる〜〜☆)


狐の巫女

(う◯ぴーー漏らしたなり!!)


ーーーーーーー


「ゲホッゲホッ!? 誰だよこれ、もぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ーーーーーーー


まんじゅう

(そ、それは!? ブリトロ!?)


先生

(やめなさい! パーティ行くんだろ!!)


おろちぃ

(お願い、じゃニャいと〜)

(色々連発するニャん♪)


まんじゅう

(先生、お願いを聞いてあげてくださいまし!!)


まいちゃん!

(ワクワク♪ ワクワク♪)


先生

(もうすぐ戻るから、待て)


ーーーーーーー


 俺は吸い殻を捨て、電子タバコをポケットにしまう。

 ため息をつきながらブースへと戻っていく。


「ったく。どうしていつもいつもこうなんだよ……」


〈ピコンピコンピコン〉


「もおぉぉぉぉぉぉぉ」


 俺は1人、叫び声をあげた。

 その廊下を支配するのは、おっさんの声。

 悲しき男の断末魔である。


ーーーーーーー


おろちぃ

(はやくぅ~~はやくぅ~~)

(もぅ、我慢できニャいニャぁ〜ん♡)


まいちゃん!

(やっぱり、羽振りがイイ男は違うぜ!! なぁ先生!!)


狐の巫女

(妾もいっぱいお小遣い欲しいのじゃ!!)


まんじゅう

(先生!! わたくしからもお願いですわ!)


先生

(心配するな、今渡したよ)


矢野

(不健全だな、おっさん)


先生

(まぁそう言うな、あとで履歴消しといてくれ)


ーーーーーーー


 こうして、俺の財布から数枚の紙切れが旅立った。

 おそらく、もう戻る事はないだろう。





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