Exステージ ➶ 男子決勝戦

〈ピンポンパンポーン〉

※この回の表現は超次元です、十分ご注意ください。



 女子の部が終わり、少し休息を挟んだ後、男子の部、決勝戦が行なわれていた。


 俺はアリーナの観客席から、試合を観戦している。

 その席の前方には、問題児達が、各々応援している。


(決勝戦を終えたせいか、やけにうるさいのだが……)


「クックックッ!!いくのだ!!そこだ!!!そこだーー!!」

「おお!!見たか今の!?すげー!!なあ矢野!!みたか!!」

「うるさいわね!!見てるんだから、いちいち話しかけないでよ!!!」

「モグモグ………うーん。これはこれで、素晴らしいランチになりますわ~」


(まぁ、いっか。楽しんでいるようだしな)


――「光陽高校」対「二ノ宮高校」――

 男子の部、決勝戦のステージは、女子の部と同じである。

 その激闘の末、残るは各校のリーダー同士。ステージ中央の弓道場で戦っている。


 光陽高校の選手は、「斉藤弓雄さいとうゆみお」青色の髪で、確かに顔は美形だ。

 そしてイケメンランキング1位との事なのだが…


「俺は……美しい………」


 なぜだが射場にある鏡を見ながら、自分に惚れているような発言をしている。


(いやさ……もう病気じゃね?あいつ?)


 二ノ宮高校の選手は、「徳川響とくがわひびき」坊主頭で、顔は歌舞伎役者のようだ。

 化粧はしてないが、すれば似合うだろう。

 そして、こいつも癖が強い性格だと思う。


「イヨッイヨッ!!ハァーー!ソイソイソイ!!」


 看的小屋の中で、世にも奇妙な動きをしつつ、そしてその掛け声だ。

 なんでこれをリーダーにしているのか……武田、俺には理解出来ない。


 だが、さすがはインターハイの出場権を争う、両校のリーダーなだけはある。

 腕は確かにある。


 リロード時間を終え、互いに向かい合うと、矢を乱射し始めた。

 射場には斉藤、的場には徳川が立つ。


――――――バシュバシュバシュバシュ!!

――――カーンッターンターンターン!!


――――バシュンバシュンバシュンバシュン!

―――カーンカーン!!ターン!!


 激しく射ち込み合う中、二ノ宮高校の徳川が、勝負に出るような動きに出る。


「イヨ!!イヨ!!アア〜…必殺のぉ~〜〜〜まぁぁ〜〜〜いいいいい!!」


(嘘だろ………竜巻みたいに回転しながら矢を射っているだと!?)


―――カーン!カーン!バシュンバシュン!!


 斉藤の矢を弾きつつ、矢を放っている。

それはまるで……………何だ!?


 対する斉藤、キラリと歯を輝かせながら、射場を猛烈な速度で横移動し始めた。

 その動きはまるで………「電光石火」のごとく!!


「フ………魂の……レクィエム………」


――バシュン!――

  ――バシュン!――

    ――バシュン!――


 あまりのその速さに、それはまるで、同時に矢が放たれたかのようだ……


――――カーンッターンターンターン!!

 バシュバシュバシュバシュ!!――――


「イヨ!イヨ!ハァ〜〜〜!!カラナタンイ!!?バダラ!!!!」

「ファイナル……エンド……アポストロフィー……」


――そして、時は過ぎ――

 超次元の試合を終える。


 会場に、アナウンスが流れた。



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