◉トーナメント1回戦
第31話 フィールド「森林」
待機場所から、こちらへと歩いてくる3人の少女。
弓道着に身を包み、弓と矢筒を持ちながら、こちらへと歩いてくる。
各自道具を、専用の弓道FPS台に収納すると、顧問である俺を先頭に、1列に整列する。
並行して対面しているのは、試合の対戦相手、三本高校顧問とその選手達だ。
まずは、試合開始前の挨拶だ。
トンガリ帽子のおっさんが、喋り始める。
「カラフルな髪型をした、選手達ですね~。ここは、お遊戯会場ではありませんよ? ねぇ…そう思いませんか?
「同感です、そう。我らは三本高校の三本の矢。その団結力は、弱小校なぞ敵ではないですよ」
白髪のショート、リーダーらしきその少女は、トンガリ帽子のおっさんと、同じ思考らしい。
団結力って言ったけど……確かに、相手方の選手は、皆白髪のショートだが、ただそれだけなんじゃね?
「さあ、我が校の挨拶は終わりましたよ。お次はそちらですよ? プププッ」
(頭にくるなー、確かに何言っても自由だけどよ)
矢野も榊󠄀原も、イライラしているような表情をしている。
だが藤原だけは、のん気な表情だった。
まあ、ここは大人の対応でいこうかな。
「真弓高校、顧問の後藤と申します。申し訳ないですが、相手を見下すよな連中に、ウチの選手は負けませんので」
(決まった。これぞ大人の対応だ!)
「ふむ、お前らみたいなゴミは、3分で掃除してやろう。クックックッ」
その言葉に、相手の選手達は憤る。
ゴミ……ゴミって言ったの? そうなの?
矢野と榊󠄀原は、よくぞ言った!
という表情をしてる。ならま、いっか。
「それでは、両校共に、試合の準備をしてください」
その言葉に、両校の選手が準備をし始める。
それぞれの選手が箱の台へと座ると、周囲の係員らが、ヘッドギアを装着したりと、色々サポートをする。
俺は係員の指示に従い、招集場所から、アリーナ席へと移動する。
(三本の矢ごと、へし折ってやれ。今のお前らなら、大丈夫だ)
この公式戦では、アリーナ中央にホログラムで試合状況が映し出される。
その再現度は高く、まるでそこに実在しているかのように思えるくらいだ。
アリーナ席へと移動すると、観客席が大いに盛り上がっていた。
席へと座ると、隣にはトンガリ帽子のおっさんも座る。
何やらご乱心のようだ。
「ムキーー!! ムッキーー!!」
「おいおい、落ち着けよおっさん……試合がはじまるぞ?」
アナウンスが流れ、アリーナにはホログラムで、試合のステージが映し出される―――
背の高い木々に覆われた、森林のようなステージが映し出された。
ステージの大きさは、約直径100メートルの円形。
中央には、
歩道のような道が、森の円周をぐるりと囲うように設置されており、そこに障害物はない。
その森の両端、向かい合うようにして、それぞれの選手達が、試合開始の合図を待っていた。
『それでは只今より、〈
ステージの上空に、対戦開始までのカウントダウンを表す、液晶パネルが降りてくる。
『3・・2・・1・・ー試合開始!』
まずは初戦、試合開始だ。
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