昔の話
一番昔の記憶は、私たちが引っ越してきてすぐの頃。
もともとこの家は祖父母が暮らしていたため、二世帯のにぎやかな家になった。
1階は祖父母のお店と生活スペース。2階は祖父母、3階が私たちの居住空間として区切られており、私はよく二階で祖父がウィスキーのビール割り片手に野球中継にヤジを飛ばしているの横目に、天井をじっと見つめていた。二階の祖父母の部屋の天井には、赤い手形がびっしりと付いており、異様な雰囲気を醸していた。
「あの手形は何?」
祖父に何度か尋ねたことがある。祖父は決まって「下手な大工が板材使うと付くんや、そのうち消える」と答えていた。
よくわからなかったが、場所が変わる手形と夜になると2階から聞こえる足音のことは言えずにいた。
「夜になると二階に大工さんが来る」
そう納得して、しばらくすれば眠れるようになった。
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