第22話 初体験
僕は半分寝ぼけていたせいもあるのか、全然照れもなく、当たり前のようにイオン君の唇にキスをした。DTの人には、初回はニューハーフか男の娘を勧めたい。あまり照れなくてできると思う。僕だけかもしれないけど。
「お隣さんが引越したら、俺の彼女になってよ」
「うーん。どうかなぁ」イオン君は笑った。
「迷うなよ」
「でもさ。僕って本当にダメ人間だし、生きてる価値ないし、最悪だよ」
「そんなことないよ。俺は好きだよ」
「僕もお兄ちゃん好き」
イオン君はしおらしく言った。可愛すぎる。
僕は今までさんざんアダルト動画で見て来たように、イオン君の唇を吸って、舌を入れて濃厚なキスをした。イオン君は黙って僕を受け入れてじっとしていた。経験豊富なくせに何もしようとしなかった。そして、僕は自然な流れで胸を揉んだ。思ったほど大きくなかった。やっぱりパットを入れてたんだろうなぁ。ホルモン剤打って大きくなったんだから、さすがにFカップにはならないか。そういう嘘も可愛かった。
この子をちゃんと女の子として扱おうと心に決めた。もっと、自分に自信を持ってもらいたかった。胸が大きい方が好きだけど、それよりも性格とか一緒にいて楽しいかどうかの方が重要だ。イオン君は胸を揉むとハアハアと喘いでいた。僕はその間もずっとキスをしていた。Tシャツの中に手を入れてじかに触ると、乳首が立っていた。僕はちょっと感動して、イオン君のTシャツを脱がして、自分は全部脱いだけど、イオン君は下は脱がなかった。僕が手をかけても嫌がってズボンから手を離さなかった。やっぱり恥ずかしいんだろうと思った。
「ちょっと腫れてるんだ」
「そっか。大変だね」
一瞬、性病かなと思った。僕は上半身を愛撫したりキスをしてりしたけど、イオン君は何もしてくれない。自分だけ脱いで恥ずかしかったから、ここは無理矢理でもやってしまおうと思った。下から手を入れて股間を触ったら、あれがなかった。
「ない。何で?」
僕は声を出してしまった。その瞬間、僕はすべてを悟った。おちょくられていたんだ。こいつは僕に襲われないように男のふりをしてたんだ。急に腹が立って来た。
「お前、だましたな!」
「ごめんなさい」
「何でだよ!」
「わかんない」
「調子に乗んなよ!中卒のくせに馬鹿にしやがって!」
「ごめんなさい」
僕はムカついたから、下も脱がせてそのままやってしまった。かっとなって暴力も振るってしまった。イオン君は泣いていてずっと謝っていた。
「お兄ちゃんはいい人だと思ったのに」
「お前が嘘つくからだろ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
でも、やっぱりイオン君がかわいいし好きだったから、俺は謝った。そしたら、あっさり「いいよ」と許してくれた。
という訳で僕の初体験は人に自慢できるようなものでも、きれいな思い出でもなかった。
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