第20話 イオン君

 いやぁ、今日の昼寝はぐっすりだった。昨日一時間半しか寝てなかったことが大きいけど、昼寝がすっかり夏休みの日課になっていた。午後になると眠くなるように生活のリズムが出来てしまって、起きているのがしんどくなってしまった。


 時間がもったいないけどやることもない。僕が家でやることと言ったら、ネットフリックス、Youtube、アダルト動画を見るだけ。趣味はないし、本当に何もなかった。高校時代は小説を書いていたけど、暇になるとむしろ書きたいことがなくなってしまった。


 隣からずっと音楽が流れてる。


 今頃、二人がやっているのが目に浮かぶ。いくらかわいくても、男は無理だと思う。介護士にでもなったらともかく他人のちんこなんて触れない。嫉妬なんて気持ちはない。ただ、金を払ってまで男の娘を部屋に呼んでるってことに呆れていた。イオン君だって、今はかわいいからいいけど、中卒で職歴もなかったらこれから苦労するんじゃないだろうか。一生売春では暮らせないだろうし。


 なんであんな子に合いカギとスマホを渡してしまったのかはわからない。結局、馬鹿だからだろう。


 スマホは解約して引越そうかなぁ。スマホ代は親が払ってくれてる。お母さん、ごめん。家賃も親持ち。引越す費用は自分で払いますってことで…。鍵返してって言って、返してくれなかったら、鍵を変えればいいんだ。


 心身ともに疲れてて気が付いたらもう外が暗くなっていた。

 イオン君、いつ帰って来るんだろうか。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る