第19話 後悔

 Jポップが爆音で流れる中。僕は冷凍ご飯をチンして、作り置きのおかずで昼食を食べた。そして、シャワーを浴びて、恒例の昼寝をすることにした。


 エアコンの効いた部屋での昼寝タイムは至福の時だ。しかし、前と違うのは、僕がイオン君に生活を蝕まれつつあることだろう。さっき、スマホと合鍵を渡してしまった。その二つがあれば、僕が不在の時にこの部屋で客を取ることもできる。


 そう言えば、イオンは隣の部屋の鍵も持ってるじゃないか…。別にうちの鍵いらなくね?


 彼を締め出すためには、鍵を交換しないといけない。そのための費用は二万から三万円だった気がする。僕はもともとオープンな人間じゃないのに、何故あんなにイオン君に入れ込んでしまったのかと思う。お金のためにおじさんとセックスするとか、気持ちが悪すぎる。しかも、洋服なんかを買うために?一人相手して三万もらえるなら、ホテルとかマンガ喫茶とかにいればいいじゃないか。そうだ、うちで匿ってあげる必要なんかなかったんだ。


 若者にとって命の次に大事なスマホを渡してしまうなんて、なんて馬鹿でお人よしなんだ!親が反社の家出少年。そんな子と関わり合うなんて今まで思ってもみなかった。もともと、メンヘラやヤンキーは好きじゃない。かわいい物には毒がある。


 こうして寝てる間も、イオン君が戻ってくるかもしれない。全然ゆっくりできない。


 しかし、僕は寝不足だったこともあり、気が付いたら寝落ちしていた。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る