第17話 スマホ
僕はアラームを設定していたから、いつも通り起きて、バイトに出かける準備を始めた。昼寝はしたけど、1時間半くらいしか寝ていない。それでも、僕は不思議と起きられるタイプだった。
クローゼットから服を出すために、照明をつけないといけなくて、そのせいでイオン君を起こしてしまった。
「お兄ちゃん、どこ行くの?」
「バイト」
「あそっか。掃除のバイトしてるんだっけ?」
「うん。1時くらいには帰るから」
「わかった」
「朝ごはん、冷蔵庫にパン入ってるから食べれば?」
「うん。ありがとう」
「ゆっくり寝てろよ」
「ありがとう。ねえ、お兄ちゃん。スマホ貸してくれない?」
「え?今?」
「しばらく貸してほしいんだ」
「どうして?」
「ネットでいろいろ調べたいし」
「そっか。ネットも使えないのか…」
僕は寝ぼけていたせいもあってスマホを渡してしまった。特に見られて困る物はなかった。彼女もいないし、エッチな写真をスマホに入れたりもしていない。僕くらいスマホがいらない人もいないんじゃないかと思うくらいだ。夏休み中に連絡を取っているのは親くらいしかいない。
「いいよ」
僕はスマホを渡してパスコードも教えてやった。
「お兄ちゃんって、エッチな動画とか見ないの?」
「スマホでは見ないよ。画面小さいし。変なサイト見るなよ!ウイルスに感染すると困るから」
「うん。大丈夫」
家を出てから、おサイフケータイに五千円くらい残高があったけど、勝手に使ったりはしないだろうと思った。イオン君がスマホを持って逃げたりしたら、キャリアに電話して止めればいいし、本体はフリマサイトで買えばいい。
イオン君は彼女じゃないけど、弟みたいでかわいかった。
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