お盆休み6話

 寿司屋を出て、次は服屋に向かった。

「秋服、あるかもしれないから」

 そう母は言っていたけどまだ半袖では?まぁいいけど。僕ら姉妹が見るコーナーは同じで母だけ別行動をとった。

 しのりんとこの服可愛いとか、身長的にワンサイズ大きいほうがとか、地雷と量産の違いがわかんないんだけどとか、盛り上がってるところに母が戻ってきた。

「琴葉、あんた外靴そろそろ買ったらどう?二、三年変えてないでしょ?」

「靴として役割果たせてるから別にいいんだけど」

 あまり乗り気ではなかった。たしかに変えてないし、一日に二十キロ歩く日もあるけど歩く分には支障がなかったから。

「見た目ボロいし、念のため。ね?」

「はいはい」

 靴をいくつか試してじゃあこれ、とクリーム色のスニーカーを選んだ。

「了解。そいや二人とも、気に入った服あった?」

「ここに」

 しのりんがかごを持ち上げて見せた。じゃーん!推しの概念服〜!と言ってにっこにこだ。可愛い、流石我が妹。

「二人ともひとつずつ?もう二着くらい買ってあげるのに」

「ほか、気に入ったのなかった」

「まだ秋まで時間あるしね〜」

 僕にしのりんが続く。

「そっか〜なら会計行こうか」

「ん」

 会計を済ませて涼しい店内を出る。迎えたのは灼熱。白い太陽光が視界を奪いかける。

「あっっつ!!」

 役にはあまり立たないだろうが腕で陽射しを遮る。もちろん日陰のない駐車場にあるからには車内も暑い。母がすぐクーラーをつけた。これだけ暑いとシートベルトが触るのを躊躇うほどの熱を帯びてる。カチャンという音を聞いて水筒の水を飲む。氷は完全に溶けきったみたいだ。

「次どこ行くの?」

 しのりんが問う。

「家具屋」

「ん〜」

 車が動き出す。僕はスマホを開いた。

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