夏風邪3話

 しのりんと最後に一緒に寝た日が最後の雨だった。それからずっと三十度超えの晴れ。一階のフローリングで大の字になっていれば暑さは凌げる、とは言ってられないくらいに暑い。息が苦しくなるからと避けていた扇風機を稼働させる。多少の息苦しさを対価に涼しさと集中力が手に入る。いつ水飲めば良いんだろう、と考えながら授業用ノートをエー五のルーズリーフにまとめ直す。三色のインクが紙を一段一段埋めていく。この作業を繰り返して、手が痛くなったらゲームしてまた作業に戻る。夕飯まで続けて今日の分は終わりにした。



 夜十時、しのりんと電話した。特に話題はない。話題がないとき、決まってすることがある。しりとりだ。これなら二三時間は潰せる。

 けほっけほっ…

「…?ことちゃん、大丈夫?」

「ん〜大丈夫大丈夫。いつものことだろ」

「そーだけど…」

 この時は知らなかった。

「まったく、しのりんは心配性だなぁ…」

「ことちゃんはもっと身体、大切にして」

「しのりんには言われたくないかな☆」

「ことちゃん‼︎」

「あは♪」

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