第三話 嫌なことがあればすぐ言って!
僕は急いで、エマのもとに向かった。茂みをかき分けてやっと着いたと思い視線を上げると、そこには、イノシシがエマのことを見つめていた。
そして、肝心のエマは座り込んでおり、イノシシと見つめあっていた。いつ、襲われてもおかしくない状況の中、僕は茂みから飛び出した。
イノシシは、びっくりしたのか僕のほうに近づいてくる。すると、エマは大声で言った。
「レイン!」
だが、僕は、イノシシの突進をよけてイノシシの背後を取り、イノシシの後ろ脚を切り落とした。
これは、お父さんから直々の教わった技であり、お父さんは大体のモンスターの対処法は知っていた。
エマは、口を開けたまま呆然とこちらを見ていた。そんなエマに僕は言った。
「エマ、大丈夫だったか?」と聞くとエマ言った。
「大丈夫なはずないじゃない!」と怒り気味で言われてしまった。
僕は苦笑しながら、もう何もできないイノシシにとどめを刺した。さっきまで、動きがうるさかった、イノシシがとても静かになったなと思った。
エマはイノシシの背中をつんつんしながら言った。
「もう死んでるのよね?」
「うん、もう息はしていない」
「あなた、なんだか手馴れていたわね~小さい頃、狩りでもしてたの?」と半分冗談を交えて言ってきたエマに言った。
「そんなはず、ないじゃないか。僕はただ昔覚えてことをやっただけ」というとエマは興味なさそうに
「じゃぁ、これ連れて帰るか」というとエマは言った。
「あの、一ついい?」と改まった顔で言うので僕は首を傾げた。
「なんだよ?」
「……とても言いずらいんだけど……あの……」
「何?」
「……トイレしたい……」ともじもじしながら言うエマに僕は呆れながら言った。
「そんなことか、その辺でしてくれば?」
「はぁ!?何言ってんの?この私がその辺でしないわよ!」
「あっそ、ならいいけど、漏らすなよ?」と僕は注意深く言った。すると、エマは折れたのか怒りながら言った。
「もう!いいわよその辺でしてくる!だから、ここで待ってて!あと」
「あと?」
「絶対の覗かないでね!!」
「うん。覗かない興味ないし」というと歩きだした。エマはこちらを振り返って言った。
「絶対だからね!」
遠くにいるはずなのに、なんだか近くにいるくらいの声の大きさだった。
僕はエマといるほうの反対の方向の森を見て時間をつぶした。
数分後に、エマは帰ってきて言った。
「ふぅーすっきりしたー!」
「おっ!帰ってきたか。じゃぁ帰るか」
僕は森の出口を目指して歩き歩き始めるとエマは後ろのほうで言った。
「……ねぇ?私の嫌なところとかない?」と突然聞かれて僕は答えた。
「そんな、今日会って、悪いところ見つけるのが難しいよ。だから、ない」
「本当に?」
「うん。僕はないかなー逆にエマは僕に対して何かあるの?
「私もないかな……特に……だけどさ、嫌な点を見つけ次第言い合おうね?」
「どうしてだ?」と反射的に言ってしまったが、エマは言った。
「だって、私たちこれからも組むんだよ?だから、それくらいしないと……」
「だけど、もしエマが嫌になったらこの組は解散してもいいと思ってる。今のところね?」
「解散!?」となんだかびっくりした様子で言ったエマは続けて言った。
「だ、だけどさ。解散するのはもったいないから私はレインのこと嫌にならないなぁ」
「そう?ならよかった」と適当に返した。
すると、エマは僕の肩を掴んで無理やり方向を変えた。エマのいる後ろ方向に。
エマとの距離は近かった。
「……本当に……嫌いにならないから」ともじもじしながら言った。
「この話は、終わりにして早く帰ろう。もう日が傾いている」と言い、僕は無理やり話を変えた。
そして、出口に向かって歩くのだった。
馬車は予約通りの時間に来て、僕は馬車に乗りながら考えた。
なんで、あって初日でこんなにも距離を詰めるのだろうか……と不思議に思ってしまった。
僕は、そんな悩みを正直に言った。
「なぁエマ?」
「なに?」
「あのさ、なんで俺に対してそんな距離詰めてくるの?」
「え?まぁなんというかこの1日で頼りにできるなぁと思ってね」
「えっ?そんな頼もしかった?」
「そうね。とても頼もしかったわ。これから、コンビを組むならあなたとならできると思って、私なりの仲良くなる方法だったんだ。だけど、私が顔を赤くしても何をしてもあなたは塩対応をしてくる。だから、私思ったのよ」
「何を?」と聞くと、エマは自信満々で言った。
「あなたのことを落とすってね」
「落とす?どうゆうことだよ」と聞くと、エマは視線をそらしながら言った。
「恋に……落とすってこと」と。
僕は、笑顔で言った。
「そう?頑張って!僕まだ人生で恋というものをしたことがないんだ。だから、僕が君に対して、虜になったときはまた、違うことを言うんだろうね」
「何それ……面白いの」
「……どうゆうこと?ただ僕は普通のことを言っただけでは?」
「あなたにとっては、普通でも私はすべてが新鮮なのよ」
エマは笑顔で言った。
そんな話をしていると、ギルドに着いた。僕は、荷台に乗せてもらったイノシシを引きずりながらギルドに入った。
ギルドに入ると、なぜか注目を浴びる。なんでだろうと思いながら受付嬢に今日の報告をした。
「クエストクリアです」という声に僕とエマは喜び合った。
すると、ギルマスのアメリアさんは驚いてから言った。
「レインとエマ?どうしたのそのイノシシ……クエストの内容には入っていないはずよ?」
「いやぁーエマが危機的状況だったんで少し攻撃したら死にましたねー」
「少し攻撃して死ぬ相手じゃないんだけど……まぁいいわ。イノシシ引き取らせてもら」
そういい、裏に入っていき……袋を持っていた。
「えーと、今回クエストクリアの4ゴールドとイノシシ討伐の報酬の10ゴールド」
「ありがとうございます」と受け取り、僕たちはギルドを後にした。
僕は朝に取った、宿に向かおうとエマに言った。
「じゃあね。僕は宿があるから」
僕はそういい行こうとしたが……
「……あのレイン?」ともじもじしながら言ってくるエマはどこか頼みごとをしてきそうだった。
「なに?」
「あのね……私朝予約するの忘れて……しかも予約って昼までしか受け付けないでしょ?だから、レインの部屋の止めてほしいなぁってどう?」
エマは上目づかいで聞いてきた。そんな、瞳に嘘はつけず……
エマを部屋まで案内した。完全に一人だと思っていたので一人用のベットだ。
それを見たエマは少し気まずそうにしていた。
「じゃぁ、ここなんだけど……お風呂とか入ってくる?」
エマは少し遠慮気味に言った。
「うん……自己負担で行ってくる」
「そう。僕もついでに行こうかな?」
「まぁついてくるのは勝手にして」
「そうか。では、お風呂に入ってから寝るとするか……」
「ご飯食べないの!?」とエマからツッコまれる。僕は忘れていたなぁと思い言った。
「じゃぁ、ご飯食べてからお風呂行くか!」というとエマは笑顔で返事をした。
「はーい!!」と。
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