第二話 初めてのクエスト
僕とエマは、アメリアさんに背中を押されたままギルドの受付嬢に向かった。ギルドの受付嬢は笑顔で言った。
「クエストの受注ですか?」と聞かれて、少し戸惑ったが細々とした声で言った。
「……はい……」
すると、受付嬢はクエストの一覧を出してきた。そして、受付嬢は僕たち初心者におすすめなクエストを勧めてくれた。僕らは、断る理由もなく……
「では、この紙にサインをしてください」
ここで、ずっと黙っていたアメリアさんが言った。
「では、ここでクイズです」
僕たちは、紙にサインをする直前で手が止まった。僕たちの視線は、アメリアさんに集中した。
「なぜ、クエストを受注する前に紙にサインするのでしょうか?」
僕はわかっていた。昔、お父さんから聞いたことがあった。だが、エマはとても小難しそうな顔で考えていた。
すると、アメリアさんは僕の耳元で言った。
「レインはわかるでしょ?」
「はい、一応父からは聞いています」
そう言うと、アメリアさんは手をぱちんとたたいて言った。
「時間切れ―!正解は……レイン言いなさい」
突然振られた、振りに僕は理不尽だなと思いながら答えた。
「それは、冒険者がなくなった際の保険のサインと誰がクエストを受けたのかを把握するため」と答えると、アメリアさんは笑顔で言った。
「大正解!さすがね~エマわかった?」とアメリアがエマのほうに視線を飛ばすと……エマはポカーンとした顔をしていた。
その顔を見たアメリアさんが言った。
「あれ?もしかして、情報量多かった?」と不思議そうに見ているアメリアさんを横目に僕はアメリアの耳元で言った。
「……エマって案外頭が悪い?」と耳元で囁くとエマは顔を赤くして言った。
「そんなはずないじゃない!この私が頭が悪い?そんなはずないじゃない」
エマは胸を張って言ったが、なんだか本当に頭が悪いのか……と思い始めるのだった。
僕たちはサインを済ませて、クエストの場所まで向かうことにした。ギルドの入り口ではアメリアさんが見送ってくれて、みんなから注目されていた。少し、恥ずかしい気持ちが少しあった。
クエストの場所までは、ギルドが運営している移動手段の馬車で移動することになった。ギルドが運営しているからと言って、賃金は無料ではない。数ゴールドはかかる。
馬車のおじちゃんに、場所を伝えて僕らは馬車に乗った。馬車特有の揺れが眠気を誘ってくると思っていると、エマは言った。
「そう思えば、あなた武器とか持ってるの?」
「武器?まぁ一応あるが……どうしてだ?」
「今回のクエスト、森で薬草を数種類集めるだけだけど……もしモンスターとかが現れたら大変じゃない?」とエマはいつの間にか手に持っていた杖を強く握りながら言った。
「その杖、どこでもらったんだ?」と聞くと、エマは嬉しそうに言った。
「これ?これはね……アメリアさんに行く際にもっていきなさいと言われて持ってきた武器なんだけど……多分魔法使い専用の武器よね?」
首を傾げながら言う、エマに僕は少し戸惑いながらも言った。
「……多分そうだと思う。アメリアさんいい人だから、エマが武器持っていないと思って渡したんだと思う」
「そうね、アメリアさんに感謝ね」
会話はここで一区切りとなった。この後、特に話すことがなくなり馬車の中でも沈黙が場を包み込む。
エマの言っていた、モンスターというのは今までの人類で害とされてきた動物のことだ。主に、野生のイノシシやクマ、牛などもいる。
それらの、動物をまとめて『モンスター』と今まで言われてきた。
僕は突然思って言った。
「エマって、そんな貴族の人だったのか?なんだか普通の人に見えるのだが……」
「……そう。それなら歓迎だわ。私昔から、貴族、貴族って言う肩書にとらわれていたの。だから、昔の私はもっと生意気だったわ。だけどね、ある日ある男のことであったのよ、その男の子は純粋で、とても明るい子だって覚えているわ……だけど、その話も、今となっては幼少期のお話、だから、その男の子がどこにいるのか。どういう、特徴があったか何も覚えてない。だけど、私が唯一覚えていることは、私の人生を変えてくれたことよ」
エマは、窓枠に肘を置きながら言った。こんなに、重い話をされると返す言葉が見つからなかった。だから、僕は一言言った。
「見つかるといいね、その男の子」と。
すると、エマは僕のほうを見て言った。
「そうね。応援をしといて……」
なんだか、あった時とは違う頭のよさそうな話し方をしていた。僕は、少し気にかかったが気にしないことにした。
そんな話をしていると、クエストの場所に着いた。
僕とエマは降りた。
降りると、
馬車のおじちゃんは、支払いを命じてきて僕はまとめて払った。
エマは、興味を示しているのか辺りを見渡していた。
「エマ?どうかしたの?」
「いえ、何でもないわ。ただ、このような場所に来たことなかったから少し感動しているだけよ」
すると、エマは歩きだした。僕は歩いながら言った。
「どこいくんだよ?」
「どこって……薬草を取りに行くのよ?二手に分かれましょう?」と提案してくるエマに言った。
「いいが、この指輪をつけてくれないか?」
「ゆ、指輪?そんなもの受け取らないわよ!?」
「いやいや、ただの生命共有の指輪だけど?」
「生命共有の指輪?何それ、どちらかが死んだらもう一方も死ぬの?」
「そ、そんなものじゃないよ!生命共有の指輪は、相方……パートナが何か危機的じ状況に追い散っているときに、この指輪がパートナーの場所を導いてくれるんだ」yというと、エマは興味津々で指輪を指にはめた。
「こんな小さいものが、お守りかぁ」と本音なのか建前なのかわからない発言をしてからエマは再び言った。
「じゃぁ、集め終わったら再びここに集合ね?いい?」
「うん。じゃあまたね」と手を振ったが、振り返してくれえることはなかった。
時間は経って、自分の分は薬草を集め終わった。エマの分も心配だから少し多めに集めておいた。
すると、急激に指が熱くなる。
思わず、手を振るが熱さは変わらない。手元を見ると、生命共有の指輪が矢印を出していた。
僕は、考えるより先にエマの安全を確認するために全力で走ったのだった。
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