3.お姉ちゃんと大きなお風呂

//SE:風呂場を裸足でぺたぺた歩く音

//声、後ろから


「やっぱりお風呂、広いなー。私達が、村で住んでた家が、このくらいの大きさじゃ無かったっけ? ……なんて、流石に言い過ぎか」


//声、近づく。左右に揺れる形で


「弟くん……? ねえ……ねーえー、ちゃんとこっち見てよ」


//声、右から


「……もしかして、一緒にお風呂に入るの、そんなに気にしてるの?」


「弟くんに言われたとおりに、身体にタオルも巻いてるし、問題ないでしょ? それでも気になっちゃうの?」


「はぁー。まあ、弟くんも色々と大きくなったわけで、そういうことに興味が向くのは仕方ないかもしれないけど……お姉ちゃんとしては、心配だなあ」


「……むしろ、私の方が心配? 弟くん以外とお風呂に入る事なんてないんだから。問題ない問題ない」


「ということで、問題ないので、さくっと教えてね」


//声、正面から


「うん……うん……これがシャワーね。要するに、魔法のおかげで回すとお湯がしゃわしゃわーって出てくるんだ。ね、ちょっと、試してみていい?」


//SE:シャワーが流れる音、ここから


「わ、本当に出てきた」


//SE:シャワーが流れる音、ここまで


「うーん……あんまりしゃわしゃわーって感じじゃ、ないかも。というか、これだけのために、魔法が使われてるだなんて、なんだか贅沢だね。勿体なくて、ちょっと使うの、怖いかも」


「それで、これで身体を濡らした上で、このシャンプーとか、ボディソープを身体につけて、わしゃわしゃーってすればいいんだ。ふんふん」


「うーん。やっぱ、一度言われただけじゃわからないかも……ということで、弟くん。私から提案です」


「私に弟くんを、洗わせてください」


「ほら、昔も洗いっこしたこともあったでしょ。それとなんにも変わらないよ」


「そのときは、洗いっこというよりは嫌がる弟くんを丸洗い、みたいな感じだったけど」


「でも、弟くんも大きくなったんだから、洗われるのが面倒で嫌だーってわけじゃないでしょう?」


「それとも……弟くんが、私のこと、洗ってくれる?」


「なーんて、冗談冗談。それは流石に私も恥ずかしいかも」


「……弟くんにするのは、いいのかって? それはもう、私は弟くんのお姉ちゃんですから」


「ともかく、異論は認めません。ほらほら、早くそこに座って、大人しく私に洗われるのです」


//SE:座る音


//声、後ろから


「よろしい。じゃあこれから、弟くんの髪を洗わせて貰います」


「えっと……まず、髪に水をかけるね。目、ちゃんと瞑ってて?」


//SE:シャワーが流れる音


「よし、これくらいでいいのかな。じゃあ次は、シャンプーを、手に取って……」


//SE:洗剤を出す音


「あっ、出し過ぎちゃったかも。ま、まあ、いいよね。それじゃあ……えいっ」


//SE:ゆっくりとしたシャンプーをする音、ここから


「わしゃわしゃ、わしゃわしゃ……わ、まだちょっとしか洗ってないのに、すごい泡立ってる。確かにこれなら、髪、綺麗になりそうだね」


「弟くんは、シャンプーされててどう? 変じゃない? 痛かったりとか、しない?」


「……へー、気持ちいいんだ。なら私も、遠慮無くやっていくよ」


//SE:シャンプー音、少し早めに


「わしゃわしゃ、わしゃわしゃ、わっしゃわしゃーっ……ふふっ、なんだか楽しくなってきたかも。弟くんの髪も、ほとんど白い泡で隠れちゃった」


「……どうしよ。これ、止めどきがわからないかも。あともうちょっと、もうちょっとだけやるね」


「わしゃわしゃーわしゃわしゃー」


「されるがままの弟くんを、泡だらけにするのは、楽しいなー」


「うん、このぐらいでいっか。あんまりやり過ぎると、良くない気もするし。じゃ、流していくねー」


//SE:シャワーが流れる音


「タオルで軽くふいてくよー。動かないでねー」


//SE:タオルで髪を拭く音、ここから


「あ、こういうのって耳とかもふいた方がいいのかな。とりあえず、やってくよー。ごしごしー」


//SE:タオルで髪を拭く音、ここまで

//SE:タオルで耳を拭く音


「うん、綺麗さっぱり。なんだか、ちょっと達成感あるかも」

「次はお背中、いくからねー。ボディソープを、濡らしたタオルにつけて……」


//SE:ボディソープを出す音

//SE:ボディソープを付けた布で、ゴシゴシ身体を擦る音、ここから


「ごしごし。ごしごし……シャンプーはあっという間だったけど、こっちは結構、やりがいあるね」


「あんまり泡立ったりはしないから、中々難しいし……それに、頭よりも広いし」


「それにしても、大きくなったねぇ。うん、何度でも言っちゃうよ」


「だって、抱きしめたらすっぽり収まりそうだったのに、いまじゃ私の腕からはみ出ちゃうそう」


「収まりのいい弟くんは、どこに行っちゃったのかなー、なーんて。ふふふ」


「ごしごし……ごしごし……」


//SE:ボディソープを付けた布で、ゴシゴシ身体を擦る音、ここまで


「お背中洗うのは、これくらいかな。シャワー、またかけるね?」


//SE:シャワーが流れる音


「ふー。こんな感じかなあ。よし、満足満足。残りの場所は、自分で洗うように。私も、いまから自分で洗わないとだし」


「弟くんが心配しなくても、私一人でできるもん。一度試したんだし。うん、大丈夫大丈夫」


「じゃ、いまから弟くんはこっち見ちゃ駄目だからね。タオルをつけたままじゃ、洗えないでしょう?」


「あ、でも、私が困ったら……そのときは、ちゃんと手伝ってよね?」

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