くっちゃくっちゃ
純情あっぷ
くっちゃくっちゃ
「……っちゃ。それでさ、あいつプライド高いじゃん? だから今日はお前しか呼ばなかったんだ」
「そうか? 俺は結構好きだけど。周りにも気遣える奴だし」
店員によって運ばれたドリアにスプーンを突き刺す。膜の張ったチーズを破くと、中から湯気が立ち込めてきた。
「くっちゃくっちゃ。でもさ。それって周りに人がいる時だけだろ? 本当にいい奴ってのは誰が見てなくても、ゴミを拾うような奴のことを言うんだよ。今日、お前と集合する前にタバコの空箱を拾って捨てた俺のような」
その言葉と共に、口いっぱいに頬張ったピザの破片をテーブルに飛ばす翔。手入れされていない庭のような眉毛が、彼の顔の上を楽しそうに跳ねる。
「くっちゃくっちゃ。それに知ってるか? 悠馬のやつ、陰口ばっかしてんだよ。そういうところも気に食わねぇ」
「そうなのか? それは確かにひどいな」
同じクラスで、人気者の悠馬。俺らみたいな日陰者にも優しくしてくれる彼から、そんな姿は想像できない。
「くっちゃくっちゃ。だろ? 顔がいいからって自分が世界の中心、みたいな態度してんだよ。だから陰口だって平気で出来る。くだらねぇ」
「そうだな。反吐が出そうだ」
お前がな。
汚い顔して人の悪口言ってんじゃねぇよ底辺が。くちゃくちゃと不快な音を立てやがって。死ねよ、マジで。お前みたいなカスと一緒に飯を食ってる俺に感謝しろ。
「くっちゃくっちゃ。そろそろ食えるんじゃないか?」
「おっ、そうだな」
無意識にドリアをかき混ぜていたようだ。ミートソースとチーズが混ざり合ったドリアからは、すでに湯気が消えていた。少し冷めて、色合いも汚くなってしまった。しかし五百円も払ったんだから、食べないわけにはいかない。何度か皿の底をスプーンでつついた後、ドリアを口へと運んだ。
「くっちゃくっちゃ。おっ、美味しいな」
くっちゃくっちゃ 純情あっぷ @kai913
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