19話 病院

僕は動けない。


だけどみんなの声は聞こえる。

だけれども体の自由が利かない。


不思議。


「早くご両親に連絡しなきゃ!」

「ごめんなさい、まずは響さんの指を綺麗にしないと指紋が拾えなくて……」


体はそうなのに頭はこれ以上ないくらいに冴えていて……呼吸がきちんとできている。


でもなんで僕はこうして血なんか吐いているんだろう。

今までどこも悪くもなかったし、そういう兆候だってなかったのにね。


今回ちりちりとかもしていないし魔法さんの気配も感じない。


魔法さんじゃない?

でもこんなの魔法さんくらいしか……。


……僕が男だって言ったから?


それならねこみみ病のときにも口にしたし、そのときにはマンガとかだっていう言い訳もしなかったけどこんな風にはならなかったんだし、やっぱり違う。


けど何度も、セキをするたびに僕の口から出てくる熱い血のせいであちこちが真っ赤で、体もなんだかぬめぬめしている。


「……ひびき……やだよ死んじゃ」


「ゆりかちゃん!」

「……ひっく、かがりぃ」


「私は気道を確保して喉が詰まらないように……血が気管に入りにくいようにするから体を支えてあげて。 ゆっくり、ゆっくりとよ? 横を向いた姿勢にしてあげて!」


「……ぐす……無理だよぉ」

「……ゆりかちゃんはこっちに来て。 ほら、私の腕の下におんなじように差し込んで。 ……そう、それでいいの」

「……うん……」


体がぐにぐにと動かされて、明け方に目が覚めたときによくなっているような体勢にさせられている。


あ、ちょっと息が楽になった気がする。


回復体位とか言うやつだっけ?

あれって本当に効果あるんだね。


「……だめだったわ!」


ふすまの音とともにりさの声が飛び込んでくる。


「なんでかはわからないけど、でも今うちの電話、使えないみたい!」

「……そんなぁ、ぐす」


「私のスマホでも電波、圏外になってるのよ! 電波塔がこの近くにあるから切れたことなんてなかったのに! ……さよさんはどう? 響さんのスマホ!」


「はい、ようやく指紋が通って……」


電波。


僕のスマホ。


「…………あっ、通じました! ……もしもし、響……さんのご家族の方でしょうか! 私、そのっ、響さんの、友人、で……」


作ったばっかりの「家族」っていう連絡先。

もしものことを考えて開いておいた画面。


先に救急じゃなくてこっちに繋げてもらえたみたいで良かった。


「さよちゃん! 響ちゃんのご家族と連絡取れたのね? あ、響ちゃんので電波が通じるなら救急車とかも呼ばなくちゃ」


「……要らないそうです」

「え? でも、こんな」


「……ご家族と病院の方……響さんがこうして外出しているときは、いつもすぐ駆け付けられる状態で待っているんだそうです。 だから準備はできている……って」


「……え。 てことは響さんの病気ってやっぱりそんなに悪いものなのよ、ね」

「それは後で……今、神社前の駐車場から車を回してもらって、こちらに直接乗り付けてもらっています」


片づけついでに僕の「家族」を呼びに行くと言ってぱたぱたと飛び出して行ったらしいりさと、彼女を追いかけて行ったらしいかがりが話す声や、入り口のふすまをがたがたと外す音が聞こえる。


そしてゆりかは……僕の頭を撫でながらぐすぐすって泣きじゃくっていて。


さよは……静かにしているけど、スマホの中……あんまり見ないでほしいなぁ。

まぁ、そんなことする子じゃないか。


それよりも、さっきまでよりはだいぶ収まって来はしたもののあいかわらずに咳き込んで止められない血が目の前のたらいかなにかにびしゃっと流れる音と鉄臭いにおい。


「……だいじょぶ、響? ねぇ、死なないで、響。 ……私が。 私が、あんなこと……あんなこと、言ったばかりに……」


「ゆりかちゃんのせいではないわ。 ただ……響ちゃんの体が、響ちゃんが思っていたより……まだ、だったのよ」

「そう、です……お医者様やご家族の方から許可、出ていたんです。 ……本当に、タイミングとしか……」


じりじりって、とっても古い感じのチャイムが鳴る。


「……来たようですね、響さんのお迎え。 よかった……」


「こっち、こっちです! 響さんのところ!」


「――急にこんな大勢で押しかけて驚かせてしまい。 おまけにうちの子が迷惑をかけてしまって。 ……本当に、済まないね」

「いえっ、そんなことありません!」


だんだんと聞こえてきたりさと――あの人の声。


「連絡が遅れて……なんだか電話が急に使えなくなって」

「そういうのは後にしようか。 今は先に……皆の心配の方が先決だ」


イントネーションが微妙にずれていたりする、なんだか昔のドラマみたいな話し方をする声。


「連絡をしてくれて助かったんだ。 『響』と私たちは君たちのおかげですぐに病院へ行けるんだよ。 遅くなんてない、非常に感謝している」

「……ありがとうございます」


「――失礼。 『うちの子』が……っと」


……つい最近に聞いた、電話越しだったら外国の人だとはとても思えない話し方……でもやっぱりちょっと堅苦しい言い回しが多い、あの人が目の前に来た……らしい。


「……これはまた、かなりのものだねぇ。 久々、と言ったところか。 ……すぐに取りかかれ」

「はっ」


ぶわっと入ってくる……あのときも少し感じたけど、外国の人がつけているあんまり嗅いだことのない香水の匂いが和室になだれ込んでくる。


「くれぐれもお嬢さんたちを怯えさせないように、ゆっくりと。 しかし確実に頼む」

「心得ております……それではみなさん、失礼します」


「口元とお体、失礼します、『響様』」

「廊下で載せるまで血が滴らないように、このタオルを下にして……」


今までの、ゆりかの……僕と大差ない体格の体に支えられていた感覚から、がっしりとしたおとなの男の人の筋肉の感触に変わって。


「私たちは慣れておりますのでどうかご心配なさらずに。 ……聞こえていらっしゃいますか? 申し訳ありませんが髪の方はまた後ほどに整えますので、今はこのままにいたします――『お嬢様』」


そうしてもぞもぞと僕の……たぶん下が真っ赤になっているだろう血をこれ以上床に垂らしたりしてりさの家の人に迷惑をかけないようにって、拭っていく感じにしていて。


体が下からタオルでくるまれてふわっと浮かぶ感覚とともに、またしても聞き慣れた声がした気がする。


「……あの、あの! 響は。 ……響、すぐに。 大丈夫ですよね! すぐに、よくなりますよね!?」


「心配は要らないよ……こんなことになっているから説得力はないかもしれないが、本当に大丈夫だ」


僕の胸に聴診器を当てたり脈を測るみたいなことしたりいろいろされてしばし、僕は運ばれるらしい。


「さて、響の友人たち。 こんな騒ぎを起こしてしまい、また、心配をかけてしまって済まなかったね」

「い、いえ、当然のことをしたまでで」

「そしてすぐに連絡を『彼』の携帯から取ってくれて本当に助かった。 けれど――」


話が尻すぼみになり、さっきまでいた部屋を見回しているらしいあの人。


あ――……いろいろと大変なことになっているだろうなぁ……だってこうして全身が血にまみれるくらいなんだから、僕がいたところとか介抱してくれたみんなの服とかも真っ赤なんだろう。


「……あ――……部屋も酷いが」


惨状を改めて見ただろうあの人が、ため息とともに。


「そんなにすばらしい一張羅が。 大変に申し訳ない」

「いえっ、急病ですから」

「そ、そーですよ、響のためですもん!」


「……あの、この服、巫女の服は……」

「バイトの人に支給するものだし、たかが知れているわよ。 普通の服程度だし袴は真っ赤だから上だけで済むかもね」


「気遣いは有り難いことだが、こういうものはきちんとしなければな。 ……おい」


「は、ここに」

「とりあえずは……そうだな。 3、いや、4だ」

「はっ」


「あの人」、でかいおばさんまたはおばあさんにずーっと付き添っていた、さらに年配な人がごそっと取り出したのは、紙袋に入った四角い4つの何か。


……え?


いや、ないよね?


いやいや、日常でそんなものがすぐに出てくるなんてあり得ないでしょ?


「これで足りると良いが」


めこっと、鈍い音が畳を凹ませる。


巫女りんは渡されたらしいその紙袋の中身とあの人の顔……あ、ちゃんとお化粧して隠している……を交互に見て、僕とおんなじ結論に至ったらしい。


「これでも足りなければ、ここへ連絡してくれ。 いくらでも払うからね。 『うちの子』のせいだから」


「……問答している時間も……惜しいので。 とりあえずは分かり、ました。 このお金、私たちがお預かりします……から。 ……早く響さんの治療を……」


あ、口に何か被せられてる……いつの間に。

しゅーしゅー言ってるし、酸素マスク的なやつ?


「1週間もあればかなり落ちつくとは思う。 あの子から直接連絡させよう。 ……それではこれで失礼させていただく」


これもまたいつの間にか調べられていたいろいろが外されて服を整えられていて、ふわっと毛布を掛けられたかと思ったらすぐに玄関を出て、とたんに外の寒さが伝わってくる。


すっごく寒い。


乾いてない血が余計に冷える。


「あぁ、見送りはここまでで結構だよ。 後片付けや……今は忙しいだろうご家族への、今の事態の詳しいご説明。 それに君たちの着替えもあるだろうに……私たちが直接にお手伝いできないのが悔やまれるが、これも事情というもので、どうか勘弁願いたい」


「……いいえ、響ちゃんのことですから慣れています」

「そうか、悪いね」


「大丈夫……ですから。 ……響、ちゃんが、無事ならっ……」

「……かがり、さん」


「ねぇ、ゆりかぁ。 ……響さんが、響さんがぁ。 あんなにたくさんの……っ」

「大丈夫だよりさりん、きっと大丈夫なんだよ……」


「…………では失礼するよ。 ……出発してくれ」


そこまで聞こえてぱたりとドアが閉まって僕はみんなから隔離され、暖房が効いていて少し不思議な香りのする車の中に取り残された。



リムジンって現実に存在したんだ……もちろんバスじゃない方の。


高級感なんだろう、押し返してくる感じのクッション性のある革張りな車内から「世界は広いなぁ」とか「お金ってあるところにはあるんだよね」って思う。


大人でも8人くらいは対面で座れそうな感じの広々とした後部座席のような空間。


その中に、運転手さんと助手席の人を除くと僕以外には1人だけ、夏のあの山で会ったときから変わらない姿のあの人しか乗っていないっていうのはなんだか贅沢な気がする。


まだまだぼーっとしていたけど少しずつ体の力が……あたたかさが戻って来て力が湧いてくるようになってきた。


背もたれとドアにもたれかる感じになっていた僕は、少しずつ体を起こしてみる。


……うん、もう自分で体を起こしても、なんともない。

気持ち悪くもなんとも。


不思議。 


「……あの」

「…………うん? もう大丈夫なのかな? ずいぶんと早いようだが」


「はい。 まずはお礼をと……助けていただいてありがとうございました」


頭を下げた僕をしばらく見ていたらしいその人がぽつりと言う。


「本当に……本当に大丈夫なんだね? 無理をしているとか」

「? いえ、別に……ほら、こうして」


「私たちはすべて分かっている。 無理はせずとも構わないよ」


すべて?


……ああ、みんなに心配かけないようにって言うやつか。


なんであんなことになったあとにこんなに平気なのか全然分からないけども、下手に救急車とかだと困るところだったしお礼言わないと。


「改めてありがとうございます。 あなたたちのおかげで……病院のこととか友人への説明とか、それも僕があんなことになって動けない状態で、あの子たちの心配をこれ以上させない形で僕を連れ出してくれて」


「このくらいはなんともないさ。 君がしてくれたことに比べたら、な」

「? ……ああ、あのときの。 いえ、ですから僕は本当に」


彼女は、ばさっと脚を組み替えて腕を突き出し、僕が言おうとすることを遮ってくる。


「君があのときに気づかせてくれたおかげで、長年悩んでいたものが嘘のように解決したんだよ」


それは良かったんだけど……顔のケガの跡くらいでそこまで言う?

大げさじゃない?


そうは思うけど、あのときのお礼でここまでしてもらえてるんだから甘えておこうっと。


「先ほど君を運んだ者の中に軽く全身をチェックしてきた医者がいただろう? あれから聞いた限りでは直ちに問題のある損傷は見受けられないとのことだ」

「はぁ」


あー、でも1回は病院で診てもらわないとかなぁ……だってあれだけ血を吐いたんだし。


手持ちの保険証でなんとかなるってのはもう分かってるし。


「うむ、元に戻ってきたようでなによりだな。 いくら体に影響がなかったとしても間違って気管の方に流れていたりでもしたら今ごろはこうしてのんびりと話してなんかいられなかっただろうしな。 ――しかしこの前は驚いたよ。 ずいぶんと時間が経ってしまったから私たちのことを忘れていたと思っていた君から、連絡が届いた先日にはね」


……冬眠っていうレアすぎる体験をした僕。


魔法さんが何かしでかしたのは分かったけども、その原因は分からない。

でもとりあえずあんまり外に出てるのは危険かもって思った。


そうしたらりさりんからの、今夜の年越し。


「何時間も外に出るのは怖いし、そもそも帰りとか年末年始で大変だし……」って考えてたところでこの人たちから「なんかあったら言って?」って紙渡されてたのに気が付いた。


くわしいことは聞かずに車を出してくれて、合図したら迎えに来て欲しい。


そう言ってたけど……まさかここまでしてくれるなんてね。


すっかり忘れてるって思ってたし、ダメ元だった。

ダメならダメで年越しは断ろうって思ってたし。


「……私たちは、てっきりだな。 もうずいぶんと連絡をもらえなかったものだからすっかり忘れられてしまって残念だと話し合っていたのだよ。 君に対する恩義を強く感じていたのに返せないとね」


「そうですか」


「そんなときに、初めの印象どおりの大人びた挨拶もそこそこに『これから君自身になにかが起きるかもしれない、それも外出先で。 だから、もし次に連絡したら騒ぎを大きくしない手伝いをしてほしい』とはね」


「本当に助かりました」

「いや何、私たちもこういうのには慣れているしな」


慣れてるんだ。

そんな感じしたなぁ……やけに手際が良いって言うか。


「事情を抱えている者特有のぼやかしたような話し方にも理解がある。 問題ないさ」


事情?

何の?


まぁいいや、こっちに都合のいい勘違いしてくれてるなら。


「こうなることは分かっていたんだね?」

「あ、いえ、はっきりとは……少しは予測していましたけど、ここまでの大事になるとは思ってもいなかったので」


いきなり血をげぼげぼ吐くなんて想像できないよね。


「しかしまだまだこれだけでは返し切れていないからな、これからも遠慮なく頼ってくれ」


む。

つまりりさりんに渡したお金以外はチャラってことでいいの?


いいんだね?


……もちろん冗談、後で払わないとね。


「関係のない、しかし観察力のある第三者からの意見。 しかもその対象と同年代のサンプ……同じ目線からの感想というものは」


今サンプルって言った?


「ときに有用であり、だからこそ価値があるのだよ。 私たちだけでは発想できない不可能を可能にしてくれるからだ。 ……ともかくはそういうこととして納得してくれないか?」


「そうで……分かりました」


助けてもらった身だし特段反対する理由もないからそれで納得したフリをしておく。


「……ふむ、着いたな。 この話の続きは降りてからでいいかね?」

「あ、はい」


金額を聞き出してないけどとりあえず着いたんなら……って、あれ。


着いた。


――――――――――――どこに。


つつっと背中に……急に湧き出た汗がぞくぞくさせてくる。


「……すみません。 どこへ送っていただきたいかって」


リムジンに乗り込んだばっかりのときはそんな状態じゃなくって、体起こせるようになってからは話したり着替えたりしてたからつい、家の住所とかその近くの適当なところとかっていうのを。


「あぁ、聞いていないね」


へ?


どういうこと?


びっくりして顔を見上げてみると、ただ笑っているだけのおばさん。


――車は止まっている。


――ここ、どこ?


僕はどこに連れて来られたの?


「着いて来て欲しい場所があるのだがね」

「あの、僕はこのまま家へ」


「いや、そういう訳にはいかないね。 済まないが」


え?


そういうわけにはいかない?

済まない?


なんで?


騙して済まない?


僕の頭はぐるぐるして思考能力を失う。


「頼む……おとなしく来てくれないかね? なにしろ、ここは」


静かに外から開けられたドアからは、夜の暗がりの中……なにかしらの建物がぼんやりと見える。


そして……1回だけなのに特徴的すぎて忘れられない、おばさんと一緒に居た人の声が聞こえてくる。


降ってくる。


「久しいな。 息災……とは行かなかったようだが」

「あ、どうも」


かつんってこの前みたいに杖を地面に当てながら彼が言う。


「我々の息のかかった施設でね」

「施設」

「あぁいや、病院、病院だとも。 もっとも、君がよく知るものとは少しばかり違うかもしれないが」


病院。


僕のよく知るのとは違う病院。


どんな?


「ここでしばしのあいだ……そうだな、短くて1週間、長くてひと月くらいだろうか。 君には私たちの世話になって欲しいのだがね」

「いえ、その、僕はただ家に」


「もちろん強制ではないのだがね? ぜひこの場で承諾して欲しい」

「……え――……」


今さら気づいた。


あ、これなんかやばい。


すっごくやばいかも。


「必要なら保護者の方々への連絡もしてもらっても構わない。 君の行動を制限することはしないと誓う。 もちろん電話してもらって構わない」


……僕を誘拐とかしようってするならまずスマホ取り上げてぐるぐる巻きにするよね。

でも実際にはそうされていない。


……怖いけど今すぐに煮たり焼いたりするわけじゃないって思っていいのかな。


海外とかで絶対に人目の着かないところに行かないようにってあるよね。

今の僕はそれを破って、のこのこと着いて行っちゃった感じなんだ。


……怒らせちゃまずい。


この人たちが悪い人たちかどうか分からない以上機嫌を損ねることは避けないと。


「夜も遅い。 ひと晩ぐっすりと寝てもらってから明日にでも……さっきの金のことなども含めてゆっくりと話し合おうじゃないか? なあ?」


あ、払ってもらった、もとい立て替えてもらったお金については……あの、ひと晩で何割とか着かないよね?


いくらなんでもこんなに子供に見える僕に……あ、僕の、いるはずの親とかにせびるならできるのか。


……身代金誘拐。


そんな物騒な言葉が思い浮かぶ。


「ふむ。 そうだな、このまま帰してしまうのも忍びないしのう」


いえ、僕はそうしたいんです。

でもあなたたちが今さら怖くなってきたので言えないだけなんです。


誰か助けて。



助けは来なかった。


現実ってのは酷い。


だから僕は夜の病院って言うホラーな場所を歩いてる……この人たちに囲まれて。


「……ここまで。 騒ぎにならないようにしていただけたのには感謝しています」

「なに、たったこれだけのことだ。 気にするなと」

「でも」


じっと……見下ろされる感じになっているけどそれはもうどうしようもない。


上から視線が来るのって怖い。

それは諦めるとして、でも言わないと。


じゃないと普段の僕みたいに流されちゃうだけだから。


「僕があのときにお願いしたのは……友人のところから、なにかがあったときになるべく騒ぎにならないように穏便に助け出してもらうことだけで。 あれだけのお金とかたくさんの人たちとかまでは……あと、ここ。 病院まで送ってもらうことまでは……その、後で行きますから」


しどろもどろになって来ちゃったけども言いたいことを言ってみた。


「たしかにそうだね。 そこまでしか言われておらん」

「うむ、そうらしいな」


でも、2人は「あ、そう……」くらいの反応。


僕はちょっとめげそうになる。


「ところで響くん」

「あ、はい」

「ちょっとこちらへ来てくれないかね?」

「え? あ、はい」


なんか遮られて……怒ってる感じじゃないからほっとするけど、僕の中でふとした疑問が浮かぶ。


あれ?

そういえば僕、名前とかこの人たちに名乗ったっけ?


あとあのとき僕女の子だって言った気がするんだけど……最近の記憶と混じったかな。


「あれだけの反動というものを目にしてしまったからには見過ごすわけには行かないんだ」


反動?


なにそれ?


「念のため。 あくまで念のために。 そして君の安全と私たちの安心のため、ここで一通りの検査というものを受けてもらいたいのだよ。 病院で経過の不明な怪我をしている患者にする、ごく普通の検査……MRIだとかエコーだとかね。 そのくらいなら良いのだろう?」


何が良いのかはさっぱり……だけどとりあえずひどいコトされるわけじゃなさそう。


そうだといいな。

そうだって信じてる。


この人たちもなんか訳アリ……外国人だもんね、ただの偏見だけども……だからこそ訳アリ仲間っぽい僕のことちょっとだけ面倒見ようって思ってくれてるだけだって思いたい。


切り刻まれたりしないでね?


そのへんに注射器とかたくさん置いてあるのも見ないフリ。


ほら、僕の体に刃物とかポルターガイスト起きちゃうから……。


「安心するといい、君」


安心しようって努力してます。


おじさんがしゃがんで来て頭をぽんってしてくれているけど……その手までが大きいもんだから全然これっぽっちも安心できないけど?


「今から君を診る人員……スタッフはすべて我々の息がかかったものだけだ。 一般の者ではないからたとえ何があってもその情報を漏らしたりはしない。 だからまず心配は要らないよ」


「まぁ、もちろん君のご両親、あ、いや、保護者や関係者……そういったところに診てもらってもいいし、むしろその方が本来はいいのだろうが。 なぁ?」

「うむ、確認させたがやはり無かったな」


「?」


「あぁ、いや、君の名前が我々の名簿になかったからね。 さらには君……たちが今まで私たちに知られていなかった。 そしてなにより君自身が私たちに『判って』連絡してきた。 つまりは、そういうわけだよ」


どういうわけなんでしょう?


なんかすごい勘違いしてる気もするんだけども、今はその方が安全っぽい。


「だから事情を知るものによる検査を。 君の体に大事がないと確認する、そのための体制が整っている環境にあるのだとは思えなくてね。 どうだろうか? 受けてはくれまいかね?」


よく分からないけども、とりあえずNOって言ってもダメそうってのは分かった。


……結構危険な状態かもしれないんだけども、何故か眠気に襲われ始めた僕。


今日はすごく夜更かししてるもんな……みんなと集まって……僕だってそれなりにはしゃいでた気がするし、たくさんセキと血を吐いて相当体力を消耗したんだ。


でも変な具合の悪さとかはない純粋な眠気だから多分僕の体が眠いだけ。

まぁあの血だって魔法さんがうっかり出しちゃったものかもだしね。


「ああ、不思議そうだと思っていたら。 儂がイワンでこいつがマリアと言う。 そして君は響くんだね?」

「あ、はい」


イワンさんとマリアさん……まぁ覚えやすいって言えば覚えやすいけど、でもなんで僕の名前知ってるんだろ。


「さて、君のその反動についてだけれどね、我々ほど知り尽くしている勢力はないだろう」

「まぁあちら側も、我々の……半分程度には知っているとは思うがね」


え、知ってる?

ってことはホントにこの人たちも僕みたいに魔法さん絡み?


適当な嘘じゃなくって?


「それでだな。 これでも我々は……恐らくは、隠れている部分も含めたとしたら今のところ最大の勢力でね」


隠れている。

最大勢力。


「先のような反動について熟知している者も……この国にもそれなりに連れてきているのだよ。 この国にもともと居た奴らは……いや、今はいいか」


外国から来た。

もちろんこの国にもいる。


ねこみみ病がメジャーになる、多分ずっと前から。

ねこみみ病に似ている感じだけど決定的に違うこれのこと。


――そっか。


僕、ひとりぼっちじゃなかったんだ。

ただ、気がつかれなかっただけなんだ。


「許可も要るだろう、だから今は聞かないでおくよ。 我々が君を助けたのは儂らが君から助けてもらった恩があるゆえだからのう」


「いつか。 いつか君の気が向いて、君の保護者の方たちの同意を得られたときに改めて尋ねることとするよ」


「はい」


あれ、そういえばどうして僕はここに居るんだっけ。


眠い。


あ、MRIとか言ってたんだ。


でもなんで?


……ああ、僕はさっき血を吐いたんだもんね。


「では、君の体を調べても?」

「お願いします」


そう言えば「腎臓とられたりしないよね」とか「売り飛ばされないよね」とか思ってたなぁって何秒かに1回シャットダウンしたがる頭が言う。


そんな僕は、気がつけば何人もの……10人を超えるかもしれない白衣の人たちが現れていて、囲まれていたらしい。


でも眠い。

もうどうでもいいや。


「それでは私たちが担当致します」

「……ふぁい……」


気がついたら僕の腕は両脇から取られていて歩かされ始めている。


「眠ってしまわれても問題ありませんからね」

「ふぁぁい……」


なんか良い匂いがするって思ったら僕を歩かせているのは女の人たちらしい。


……あ、だめ。


そうだって分かっちゃうと途端に安心しちゃって――。



結果を言えば――僕は無事だった。


あの2人とその仲間たちが実は怖い外国の人たちだったとか、それで恩を売ったところで「じゃあちょっと素敵な場所に行こうか」とか「子供の臓器って人気あるんだよ」とか「可愛い子供は欲しい人がいっぱい居てね?」とかそういう怖いことはなにひとつなくて、僕は平和そのもの。


イワンさんとマリアさん。


名前で呼ぶようになった程度には仲良くなった気がする彼らは結構お茶目。

なんでもあの夜、僕が眠いって気がつかないままに連れ回して話し続けてたらしい。


幼女を何だと思っているんだあの人たち。


んで僕はほとんど寝たまま看護師の人たちに運ばれていろんな検査されたらしい。


覚えてないのは幼女な肉体ゆえにしょうがないよね。

特に痛かったりしないで普通の目覚めを迎えられた奇跡に感謝だ。


でもあの日から僕、この通り病院に入院させられてる……しかも個室で。


「個室ってお高いんでしょう?」って聞いたけど「子供は気にしなくても良いよ」って言われてちょっといらって来たから遠慮なく食っちゃ寝な生活を楽しませてもらってる次第。


本当はこれ以上借りなんて作りたくはなかった……結局りさりんへのお金とか検査代とか入院代とかの話しようってすると逸らされるし……けど、今の僕がどんな状態なのか不安だったのは僕もおんなじだったからひと息つけた感じ。


それに……今までできるだけ人に頼らないようにしてきたからこそ、こうしてだらだらと。

冬眠期間を除いても半年以上、入れたならもうすぐで1年になるっていうこの長い時間。


去年の今ごろまでの僕にとってはたいしたことがない、けど今の僕になってからはとっても長い時間、ずっと、ただひとりで悩むだけだったから……どこかでそれを変えないといけないって思っていたんだ。


その相手がたまたまこの人たちだったってだけ。


……入院中にマリアさんとイワンさんにいろいろ説明されたけどもそれはまたあとで。


それよりも今は2月になっている。


2月。


そうしてあのおおみそかを祝って、お正月をスプラッターで飾って抱っこされたままでの検査っていうのを終えてから、気がつけばもう1ヶ月が過ぎてとうとう2月だ。


2月。


1ヶ月も外に出ないひきこもり生活だったんだ。


そんなことを考えながら……1ヶ月ぶりくらいにみんなと会う時間までもう少し。


「む」


こんこんとドアがノックされる音。


そしてノックの後すぐに慣れた声がしてこないっていうことは……みんなだ。


「……どうぞ」


「ひびき、おひさっ! …………ホントに元気になってる! 良かったぁ……」


小さいのと対比するように、レモンに対するメロンのように、かがりも入ってくる。


「ごきげんよう、響ちゃん。 ……良かった、ほっとしたわぁ……ようやくあれから時間が経ってようやくこうして会ってもいいって言われて来てみたけれど……本当に顔色もよさそうで」


ゆりかとかがり。


せっかくの大みそかを盛大に台無しにしちゃった僕は、彼女たちと1ヶ月ぶりに再会した。


「久しぶりだね、ふたりとも。 あのときは迷惑を……せっかくの年越しだったのに」


「だーかーらーひびきー、それもう禁止!」

「そうよ、このあいだからのチャットでその話はたくさんしたでしょう?」


あぁ、この感覚。


話を最後まで聞いてくれなくて遮ってくるこの感覚。

結構懐かしいと同時に、この子たち特有のものかもしれないって思い始めてきたもの。


「で、そーいえば今日の面会ってどのくらい居ていいのかとか聞いてる? なんかドラマとかじゃお医者さんが入ってきて『そろそろ患者様の御体にお差し支えがありまするゆえ……』とかいう場面あるけど」


ゆりかがボケ始めた。

少し落ち着いてきたらしい。


「いや、特にはないよ。 あれから随分ここにいるし、僕の体もすっかり安定しているし」

「そう、良かったわね。 けれど私たちも響ちゃんを疲れさせたくはないし、ほどほどのところで切り上げるつもりよ?」


そう言いながら、僕が指さした先にある折りたたみのイスを引っ張ってくるふたりは制服……冬服らしい格好。


……あぁ、学校帰りだよね、夕方に近い昼間だから。

夏服はよく見てたけど冬服は初めてかも。


「ほんとは今日、みんなで来ようって思ってたんだけどねー? りさりんとさよちんも」


「今日はただ都合が悪かっただけだし、これからいくらでもこちらに来られるものね! それこそ毎日でも響ちゃんとお話して!」


「いや、毎日は」

「そだよかがりん、響の方もともかく毎日は私たちも大変でしょ」

「そうかしら? 来るついでにお菓子とか買ってきたら夏のときみたいな感じになるんじゃないかしら?」


「……………………」


どうしよこの子?


そんな目で僕を見てくるゆりか。


……うん、君もこの子のことよく知ってるもんね……1回言い出したら聞かないって性格を。


「……そのへんは主治医に相談しておくよ」

「ええ!」


「……あぁそうだ。 こっちも改めて言っておかないとな」

「こっちって?」


「うん。 あの後始末をりさの家の人たちにも手伝わせてしまったんだよね。 ずいぶんとご迷惑をかけたから」


「……マジメさんだねぇ。 あれよ、あの後響の……えっと、家族の人だよね。 家族の人たちがもっかい来て挨拶してたって聞いたけど」

「それでも」


「あ、響もそーゆーとこあったねぇ……なら退院したらみんなで遊びに行くついででいいんじゃない?」

「ええ、そうね。 普段は人も居なくてヒマだと言ってたし、そういうときに……お休みの日とかに適当に遊んだりするついで良いと思うわ」


僕の心は大人だからやらかしたら僕が謝りに行かなきゃって思うんだけども、他の人に取ってみれば僕は病弱でいきなり吐血するほどな子供なんだ。


確かに「本人が顔も見せないなんて……」って言うのとはちょっと違うのかもしれない。


「ところでさ、響」

「ん?」


「病気。 今は楽になってるの? いや、あのときと比べると……クリスマスんときの退院のときと比べてもずっと顔色いいし、なによりほっぺとかが元に戻りつつあるからそう思ってるんだけど」


「そうよね、だいぶ響ちゃんらしくなってきたわよね!」

「そだよねぇ、良い感じの美男子ぃな感じ!」


「ええ、だって『元気だ』って……ふらふらしながら言っていたから説得力、なかったもの。 今とは大違い」


確かにあのときは家から歩いて10分の駅前まででさえタクシーを使わないと動けないくらいだったんだし、がんばって平気そうに見せていたのは筒抜けだったらしい。


けど……こうして断りもなく気の向くままにべたべた触ってくるのはやっぱり大型犬。

初めのころは嫌だったけど、もう、とっくに諦めているから好きにさせている。


ほんっとうにかがりは気にしていないんだな、男っていうの。


流石に忘れてはいない……よね?

僕がちゃんと男なんだって言ったの。


忘れてないよね?


ほら、ゆりかがすごい目で見てくるし……嫉妬しても胸は育たないって思うよ?


そんなダブルメロンさんが僕の髪の毛を手元にとって眺めつつ言う。


「……かがりん? いつものことだし、響も気にしていないのがすっごく気になるんだけどさ? とにかく……ちょっと近すぎない? いちお、君たち男女なのよ?」


「え? ……あらごめんなさい、今日は髪留め、持って来忘れちゃったわ」

「ちがう、そうじゃないのよ。 お願いだから意識してよ……中2なんだから」


「???」

「あ、ダーメだこりゃ……響も大変ねぇ」


「……もう慣れたよ」

「お労しい響上……男子にこのダイナマイトはさぞ毒でしょう」

「そういうものを完全に気にならなくなる程度にはもみくちゃにされたからね」

「おおう……響の男の子が破壊されとる」


「???」


ゆりかには分かってもらえるこの気持ち。

実は歳が離れすぎていて……胸が大きかったりしてもそんなにどきどきしないんだけどね。


「……そうだ、ふたりとも。 君たちにも……後日来てくれるだろうさよとりさにも説明するけど。 実は僕はね」


この子たちのための嘘。


僕が……いつどうなるか分からないって言う爆弾を抱えてる僕が。

魔法さんが次はいつどんな感じに暴れるのか分からない僕が。


この子たちにとって、最も自然で納得しやすく迷惑の掛からない理由って言う嘘をつく。


「――春になったら。 春になったら、海外へ越すんだ」



「え……う、うそ……ここでの治療じゃ限度があるから……いや、施設が足りないからって、海外の病院で本格的に治療する……って、そんな急に……」


そういうことにした方がお互いにとって良いんだ。

だから僕はまたひとつ、嘘をついた。


けど今度の嘘は……今からしようとしていることを思えば本当に必要なもの。


「ってことはひびき……私たち、響と当分」

「会えないことにはなるね。 少なくとも、発ってから戻ってくるまでのあいだは、ね」


「お見舞いしたりして響ちゃんと外でまた会える日が来るのを楽しみにして待つつもりだったのに、ここを退院したらそのまま外国でしょう? 簡単にはお見舞いできなくなるのね……」


まぁ学生じゃなくても気軽に海外にお見舞いなんか行けないよね。

そのための海外に行くって言う設定なんだ。


「そういうわけなんだ。 だからこそさっき言ったように次こそが本当のお別れなんだ」


「……お別れ……ひびきと」

「ゆりかちゃん、大丈夫?」

「……ん。 もう……平気」


少しだけ泣きそうになっていたゆりかも、もう元通りになりつつある。

ぱっつんの下の目も口元も……見た限りではまた泣き出しちゃいそうな気配はなさそう。


「……少なくとも、あちらでの検査を待つのに数ヶ月。 下手をするともっとかかるかもしれない。 ……治療を受けられて回復したとしたって、状況次第では……学校だって現地のものになるかもしれないし、あっちで暮らすことになるかもしれないんだ」


「でも……それが、響のためだから。 なんだよね?」

「……うん」


今度は泣きそうにはならなかったゆりかが、ぱっと笑顔になる。


「……そっかそっか。 ひびき、とうとう病弱から海外治療っていうスーパーレアでワールドワイドな存在になっちゃったかぁ。 あ、もちろんちゃんと治るんだよね?」

「うん、きっと」


「そっか、それも良かったんだけどぉ……んー」


と、じっと腕組みをして難しい顔をし出すゆりか。


「…………ん――……」


ものすっごく考えてる。

なんだろ。


「……んー、それだったらさっさと言っといたほうがいいのかなぁ……でもなぁ……ん――……」


「あら? ゆりかちゃん、何かすぐに伝えなければならないこと、あったかしら? 響ちゃんがいなかったときのこと? たとえば秋にみんなで響ちゃんの代わりに遊びに行って――」


「――――――――――――かがりん」


「!?」

「ひゅいっ!?」


ゆりかの声が冷える。

そんな感覚。


いつもより低いって言うかドスが利いてるって言うか……ゆりかが本気で怒ったときはこういう声になるんだってのが病室に響く。


「今から私の話が終わるまで、お口チャック。 いい? ちゃーんと覚えた? かがりん。 1回しか言わないよ? 破ったらさすがの友達でも結構怒るからね?」

「はい……」


かがりが一瞬で黙るっていう奇跡が起きた。

そりゃそうだ、怖いもん。


こっちに向き直りつつ「はぁ……」とため息みたいなものをつくゆりか。


「……べっつにかがりんなら聞いててもいいからさ――……お願いだからお口だけは挟まないでね? 話し終わるまで。 ……いい?」


「……わかったわよぅ……ねぇ響ちゃん、ゆりかちゃん、ときどきこうして怖いの。 なんでかしら……」


それは仕方がないんじゃないかな。

きっと常日頃から何かしらやらかしてるんだろうし。


「んじゃ、ここからはお静かに……んで、えっと。 そんでね? 響。 んー、せっかくだし今言っとかないと、次言えそーな雰囲気と、あと勇気とかね? だから、も、言っちゃうね? 言っちゃうよ?」


深呼吸を何回かしながら……走ったあとみたいに、ゆっくりと落ちつくのを待っているらしいゆりか。


そんなに大事なことってなんだろ。


そうして――夏に、ゆりかの家で一緒に過ごしていたときとかにふとすることがあったような表情で……口を開いた。


「実はね、響。 私ね? ……私は、関澤ゆりかは。 初めて会ったとき……たまたま響、君と会って、一瞬だったけど顔を見て目が合った瞬間から……君のことが、好きだったんだ。 たぶんね。 ……んで、今でも……けっこー、好き。 ……なんだよ? 気づいてた?」

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