打ち過ぎた記憶

「助けて下さい!」

「ま、魔王の呪い!?冗談じゃない!!この街から早く出てってくれ!!」

 

「助けて下さい!」

「魔王亡きこの世に勇者は不要!この者を捕らえ牢に入れよ!」

 

「助けて下さい!」

「助けて欲しいのはこっちだ!食い物があんならよこしな!」

 

「助けて下さい!」

「勇者の仲間だ!捕まえろ!報奨金がでるぞ!」


「助けて下さい!」

「おいおい!これがあの勇者様かよ!無様だなぁ!デケェ面して気に入らなかったんだよ!!」


「助けて下さい!」

「なんだ?脱走奴隷か?誰か奴隷商に連絡しといてくれ」

 

「助けて下さい!」

「貴様!どの面下げてここへ来た!助けて欲しいだと…………!?ふざけるなッ!よくもそんな口がきけたものだな!!」


「助けて下さい!」

「……ふ、ふふふ。い、いいですよ……助けて差し上げますよ……ふふ……さ、さあ、こちらへどうぞ……ふ、ふふ……」


「助けて下さい」

「ふ、ふざけんな!こっちくんじゃねぇ!」


「助けて下さい」

「……ッチ。乗ってきな、そこの街までだ」


「助けて下さい」

「魔王の呪い?んなもん連れてくんなよ」


「助けて下さい」

「いいぜ、だが取引だ……」


「助けて、ください」

「呪い?良く分がんねぇけどよ、ここじゃ無理だべ」


「助けて、ください」

「飼い主が近くに居ないみたいだ!殺して構わん、金目の物を奪え!」


「助けて、ください」

「食い物……食い物をよこせ…………」

 

「助けて、くだ……さい」

「……あ?誰だてめぇ?おい、誰かとっととこのゴミ捨ててこい!」


「たす、たすけて……」


「た……」


「……」


「………」


「…………」


「私が……」


「私が、助けます……ので……」


「申し訳ございませんが……もう少しだけ、お待ち下さい……ご主人様」

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