争いの時代と弱者の国
仲仁へび(旧:離久)
第1話
慈愛の医師団は、魔法王国から出てがっかりしていた。
思ったような結果を出せなかったからだ。
今回の仕事で助けられた人間達は少ない。
科学王国、神聖帝国、妖精大国。
人間、機械人、妖精、神人。
様々な国の、様々な種族。
全ての人を、ただ助けたい。
その一心で、慈愛の医師団は活動していた。
しかし彼等は嘆く。
弱い者から死んでいく。
助けたいけれど、自分達はそんな弱い者達のいる場所へ行けなかった。
医師団には旅をするための許可証が交付されていた。
しかし、弱い者達にいる場所へ通行する事は許されなかった。
弱い者達のいる場所は、だれだって、見せたくない。
医師団がスパイになる事を懸念した各国は、助けてほしい人達だけを助けさせて、本当に弱っている人達を助けさせようとはしなかった。
だから慈愛の医師団は、分裂した。
「このままでは埒が明かない。俺達は弱い者達でも助けられるようにしたいんだ」
「だからといって、目の前で助けを必要としている人達を見捨てるわけにはいかない」
一方は、弱い者達を助ける理想の国を作るために旅立った。
もう一方は、各国が助けてほしいという人達も助けるべく奔走した。
そうして、何十年か経った時。
一つの国が出来上がった。
助けられないはずの弱い者達を拾い上げるための国が。
許可証などなくとも自由に行きたい場所に行けるーー
人知れず弱者を救い上げる浮遊大陸の国が。
争いの時代と弱者の国 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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