第2話

 地元から大学に戻ってから1ヶ月が経ったある日、彼女が突然俺が住んでいるアパートにやってきた。


「変な先輩につけまわされて、嫌になったから来ちゃった」


 この言葉だけなら俺も喜んで迎え入れていただろう。


 しかし、そうすることができないのだ。



 ちょうど昨日、彼女の両親から連絡があった。


『君のところに娘が来ていないか?』


 話を聞いたところ、1週間ほど前の夜にいきなり寮から飛び出したという連絡が来たらしい。


 しかも、「私は自由だ!」と叫びながら。


 部屋の中には薬物的なものは痕跡すらもなく、精神病も疑われているそうだ。



 疑いたくはないが、この状況では疑うなというほうが難しい。


「どうして入れてくれないの」


 彼女はドアの前で待っているが、今にも入って来そうだ。


 しかし、鍵はかけてある。


 入ってくるはずは「入るね」


 ドアをすり抜け、部屋の中に入ってきた。


 そのまま俺の前まで来て、思いっきり抱きしめてきた。


 何かが吸われていく。


「君もアノこと一緒にしてあデル」


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