私は欠けた研究者

私は一応職業研究者である.

研究者の職務は諸説あるかもしれないが,所見を述べると『最先端を突き進むこと』と『得た知見を広め社会に還元すること』となる.

私には後者に関する欲求がない.


私は知りたいことがある.

『知能とはなにか』

その最奥を知るために研究を行っている.

極論を言えば私自身がそれを見つけなくてもよいとさえ思う.

誰かが見つけ,それを知るだけでもよい.

そこをスタートに更に次に進むことができるから.


例えば数学の最奥を知りたいとする.

もちろん四則演算から自分で発見し使いこなしていくことも楽しいだろう.

しかしこれまでに誰かが発見した四則演算,非線形関数,各論を知り,そこをスタートに更に数学の最奥へと続くなにか,未だ発見していない次,に進むことができる.

今現在までの知恵を教えてもらう.未来に続く知恵を見つける.どこまでいっても最奥にたどり着くことはできない.辿り着けるほど浅いものではない.


『知能とはなにか』

簡単なようで面白い.身近なようで遠大である.

その最奥に辿り着きたいと願いながら,辿り着けるほどのものでないと期待する.

私はそれについて突き進みたい.


そのために過去の,そして現在の研究者の論文を読み,発表をきき,沢山の教えを受ける.

だからこそ論文にし発表を行い,還元することが大事になる.

が,その「大事なこと」に対する熱意がちと足りない,怠惰な気持ちが大きい,対する人が怖い.


だから私は欠けた研究者.

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私のおくすり @nek009

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