常識
常識とは,世界の見方である.
世界とは,常に意識していることであり,常に知識化していることである.
「あるものごと」を見たとき,人はそのもの自体を見ることができない.自分が意識していること・持っている知識によって見方が歪められてしまう.
というか,それらによって見方を規定しなければ,ものを見ることができないのかもしれない.
新しいもの・知らないものを見たとき,これまでの常識をベースに,知識化しようと試みる.その範疇に入らない,まだ自分が常識としていない部分もなんとか取り込むが,その量は僅かである.そして,その未知のものを常識とした後には,「知っているもの」として見始め,「知らないもの」としてもう見ることはできない.
「椅子」を初めてみた人間はどんな感想を得ただろう?「椅子」を知り,座るものだと知った今の人は「椅子」を「椅子」として見るが,「椅子」を知らないものとして見ることは難しいだろう.「椅子」だと知った後に「椅子」を見る見方は,「背もたれ」の有無や形状,肘掛け,シート,足を「椅子」として見,「椅子」ゆえにそれらを見る.背もたれの化繊の毛羽立ち,肘掛けの紋様,足の不揃い,それらを『なんだろう?どんな意味があるのだろうか?』と見ることは難しい.見ることが出来たとしても「化繊」というものの見方,「肘掛け」の一部,「足」という役割の中でしか見ることができない.
意識し知識化するために「ことば」が重要である.もしくは,意識しようとすること・知識化しようとすることは「言葉」にすることかもしれない.「肘掛け」という言葉を知らない場合,「肘掛け」を意識することは感覚的に一瞬はできるかもしれないが,長期的には頭の中から散逸してしまう.意識し知識化する行為と言葉にする行為は表裏一体である.
社会に出たとき,上司・先輩・同輩・後輩・取引相手・競合相手,色々な人の所作に触れる.意識し知識化しないと,それは自身を素通りするだけで,なかなか身につかない.身につけるためには,意識し知識化し,言葉にして覚えて活用することが大事だろう.
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