第52話
「科学の発達に
質問者である
「どんどん神社
「魂の姿のままではダメなんですか?」
「どうなんだろう。あ、こういうことはヤクに聞いた方が良いかもね」
宗介はそう言って
「魂のままだと体力を使うんだとさ」
「な、なるほど?」
神様たちのことは人間にはわからない。秋斗は頭にはてなを浮かべたままだが、一応納得したように座り直した。
「じゃあ結局、この傘の中には笠地蔵の魂が
黙って話を聞いていた
「うん、そういうことになるね。笠地蔵の
宗介が話をまとめると、溝口は不可思議な現象の謎が解けてスッキリとした表情をしていた。彼は事務所の時計を見ると、ハッとしたように
「すみません。オレ、そろそろバイトなので行きますね。今日は急な依頼だったのにありがとうございました」
ゴールドのネックレスがお
──溝口を見送ると、ビニール傘はぴょんぴょんと飛び跳ねながら
「希~! 久しぶり~!」
希は慣れた様子で傘の持ち手をポンポンと軽く叩いた。
「はいはい、久しぶりだね。それにしてもあれからずっと大学にいたの?」
「うん! 何度か希のこと見かけたんだけど、人が多すぎて全然話しかけられなかったんだぁ」
「そっか。まあなんにせよ、元気そうで良かったよ」
声が聞こえない人からしたら傘と人間がしゃべっている姿は
春樹はしゃべりたくてたまらないといった風に、きらりと目を光らせた。
「すごいすごい! 幽霊だけじゃなくてとうとう物とまで話せるなんて! こんにちは、笠地蔵さん。俺は春樹、こっちは秋斗」
「こんにちは! 僕のことは笠って呼んでね! 春樹に秋斗、よろしくね~!」
春樹は傘の持ち手を
幽霊に神様に笠地蔵の魂……人ではない者との出会いがどんどん増えていく。秋斗はもはや慣れつつある非日常に笑うしかなかった。
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