第23話
そして迎えた土曜日。
「そういえば佐伯さん、気になってたんですけど、あの幽霊どうしたんですか?」
今日もギャルの幽霊はどこにも見当たらない。疑問に思っていたことを口にした秋斗に、希も「たしかに」と小さく
スタスタと人混みをかき分けて歩く佐伯から離れないように、三人は続いていく。彼女は一瞬後ろを振り返った。
「
「押し付けた?」
春樹が首を
「そのまんまの意味さ。私じゃ面倒見切れないから、オカルト大好きな
人通りが少し減ったところで、佐伯は歩く速度を
佐伯の叔父、
*
やがて佐伯が立ち止まった場所の目の前には、三階建ての雑居ビルがあった。一階は
いやなんだよ、オー・ハライって。お祓いから考えたのか?
秋斗は心の中で一人ツッコミを入れる。希だけがなにか察したように「なかなかダサい名前だね」と小声でささやき、二人は苦笑した。
扉の横にあるチャイムを佐伯が押すと、ピンポーンではなくビーッと壊れたような音が鳴った。中から足音が聞こえ、ドアノブをガチャガチャする音が聞こえるが、建てつけが悪いのか一向に扉が開かない。
「はーい、いらっしゃいませー」
やがて開いた扉から出てきた女性は、お店のような挨拶で出迎えてくれる。丸眼鏡をかけ、髪をハーフアップにまとめた彼女は、ゆったりとした丈の長いワンピースを着ていた。外からの風にそのワンピースがふわりと
「わぁ、
女性は佐伯を目にとめると、すぐに笑顔を見せた。両頬にできるえくぼが彼女を幼く見せる。
「こんにちは、
佐伯がお腹を指さすと、美里さんと呼ばれた女性はお腹をさすりながら笑った。
「まだまだだよー。そんなにお腹
美里は佐伯の後ろに
「茉鈴ちゃんがお友達連れてくるなんて、感動しちゃう~!」
と、冗談っぽくそう言った。右手を頬に当て、左手で佐伯の肩をパシパシと叩く。
佐伯は人差し指を彼女に突きつけ、少し前かがみになった体勢で言い返した。
「友達じゃなくてサークルのこ、う、は、い!」
オカルト研究サークルの三人に紹介するときも、佐伯は秋斗たちが後輩であることを強調していたような気がする。誰でも先輩という立場は気分が良いもの、ということか。秋斗は勝手に結論付けた。
「はい、佐伯さんの後輩です!」
元気よく挨拶をした春樹に続いて、秋斗と希も事務所の中に入っていった。
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