第20話 一緒に帰ろうよ!
「
希は浮いている幽霊を見上げ、少し考えてから口を開く。
「私もその認識は合ってると思います。だけど、幽霊には人間だけじゃなくて犬や猫の動物もいます。それから、その幽霊たちには共通して未練があるんじゃないかなって。今回の幽霊で言えば、もっと遊びたかったという未練があって、彼女は幽霊になったんじゃないかなと思います」
生きているときにやり残したこと、そういう
メモをとっていた武藤が関心したように何度もうなずく。
「おお……なるほど、すごい。やっぱり霊感のある人に話を聞くのが一番タメになりますね、先輩!」
溝口と
「それじゃあ調査も終わったことだし、早く帰ろうか。雲行きも
そうして彼らは来た道を引き返し始めた。
「さ、行こ」
「ちょっとストップ」
それを言ったのは希ではなく、
「希、どうするんだ、あの幽霊」
「どうするもなにも、私にできることは喋ることくらいだし」
希は困り顔で幽霊を見つめた。
春樹は
「幽霊さんも一緒に帰ろうよ!
「「え」」
秋斗と希は同時に振り返る。
話が聞こえていたのか、幽霊は風を切って(?)春樹に
「『あたしを連れて行ってくれるの!?』ですって」
希は遠い目をしながら、通訳をしてくれる。勝手に春樹がうんと言うと、幽霊は両腕を高く上げ、溝口たちのあとについて行った。
『やったー!』
聞こえない秋斗でも、雰囲気と口元でなんとなく幽霊の言ったことがわかった。
これはまた、どうなるんだ。
幽霊に続いて歩き出す春樹。それにつられるように希が続く。
滝の音を聞きながら、涼しい風が頬をかすめた。秋斗は一度後ろを振り返ったあと、彼らの背中を追った。
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