第7話
「大丈夫か?」
朝起きてから
「はぁー、生き返った……」
「いい飲みっぷりだな」
くははっと笑う佐伯はいつもの調子で椅子に腰を下ろし、自身も買ってきた水を飲む。
「あの、ありがとうございました。さっきのがお
「あー、まあ、そうだ。まだ最後にやることがあるがな」
視線をそらしながら
すると、テントの外から声がする。
「失礼します。
名乗った瞬間、秋斗の体は
え、なんで。どうしてここに。
秋斗の
中へと入って来た如月は、昨日バイト終わりに見た姿よりも
腕を組んだ佐伯はため息をついた。
「で、変なものは出てきたか?」
「はい……これです」
おずおずと如月が差し出してきたのは、ところどころに出っ張りのある、黒くて
「おおー、思った以上に小さかったな」
そう言って佐伯は嬉しそうにそれを受け取ると、
「
如月は秋斗の方を向く。昨日はあんなにも殺気だっていたのに、今日はおどおどとしていて雰囲気がまるで違う。
「すみませんでした……家族が亡くなって、もうどうしたらいいかわからなくなりました。あなたを殺すことで、同じ目にあわせてやろう、そうすればこの辛さがわかると……苦しめて……すみません」
涙ぐんだ声に秋斗はなんと言葉を返したらいいかわからなくなる。ぐるぐる考えた結果出てきた言葉は「はい」だけだった。
如月は佐伯に礼をしたあと、去っていった。
二人が重い話をしていたというのに、佐伯は如月からもらった黒い物体をお手玉のようにして遊んでいる。秋斗は彼女を
「大事な場面なのに、佐伯さんはなにしてるんですか。それに、その物体はなんなんですか」
「これか? 如月の内側にあった
口角をニッと上げると、佐伯はその物体を口の中へと放り込んだ。
は? と秋斗の開いた口が
食べた?
「な、なにしてるんですか」
「何って、食事」
「は、え?」
「まあまあ、細かいことは気にしない気にしない」
最初に会ったときと同じように、机に脚を乗せ、目をつぶる佐伯。秋斗は理解が追いつかないまま、その場で棒立ちになる。外では一限を知らせる予鈴が鳴っていた。
佐伯は寝息を立て始める。
なんなんだこの人は。
秋斗は
二人にこの
〈第一章 噂の探偵 終〉
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