第5話
「ん、あれ、もう終わっちゃったの?」
まさか、気づかれてる? いや、でも、探偵はともかく自分たちのことは何も知らないはずだ。
写真で見たあの爽やかな笑顔はそこになく、如月の表情はひどく疲れ切っていた。
「やばい、四限遅れる! またあとで!」
やっと覚醒した春樹が
ふぅと心を落ち着かせ、
「あの調査って……」
「その話は戻ってからだ」
そう言って北門の自動販売機の横、探偵アジト(秋斗が勝手に名付けた)に向かった。中に入ると少女の霊が佐伯に
椅子に座った佐伯は、秋斗を対面に座るよう
「
「はい。人の霊が視えることが多いです。話すことはできないですけど」
「話せる奴なんてそうはいないさ。で、聞きたいのは調査方法だな」
秋斗は
「ここにいる三人は私の使い魔だ。対象者の中に入り込み、記憶や深いところにある感情を読み取る」
「そんなことができるんですか……」
「まあな。それよりも、私が気になるのはそれだ」
佐伯は秋斗を指さした。正確には秋斗の右肩あたりを
「それ、とは」
希から言われて知っていることであるが、秋斗は認識していないため、問いかける形になった。
「なんだ、自分に
佐伯は少し驚いたように片眉を上げる。
「友人には生き霊がついていると言われていますけど。どうやったら自分でも視えるようになるんですか?」
「うーん、そうだな……私の場合は鏡を見ればいけるんだが。それか生き霊を飛ばしている奴が、本人には気づかれないようにしているのかもしれないな。なんにしても、早めに
真剣な表情でそう言う彼女に、秋斗は「考えておきます……」と
*
一人暮らしをしているアパートから徒歩5分のところにあるコンビニで、17時から22時までバイトをする。学生用アパートが多いため、大学生がよく来る。家飲みでもするのだろうか、夜は特に男女グループで酒やお菓子を買っていく人がいた。
「お疲れ様でした」
バイト仲間にあいさつをし、従業員用出入口から店の外に出ると、コンビニの前のベンチに座っている人影があった。その人物は秋斗に気づくと、サッと立ち上がり、秋斗の進路を
「あなたは葛城
突然話しかけてきた人物は――如月
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