第60話 会議


 ホールの椅子に座り、気持ちを落ち着かせる。


 俺のリーダーとしての欠如を諌めてくれたAIのミラクルにまで当たってしまった。

 言い過ぎたかもしれないと反省し、呼吸を整えて自分を落ち着かせる。


 ようやくマリを含め7名がホールの中央テーブルを囲んで座る。


 テワオルデがいないため


 ――ミラクル、先ほどは悪かった。情報を教えてほしい。


 ミラクルは少しすねているのか、言葉を発せずに情報を提出する。


 情報が中央テーブル上の空間に映像と共に流れる。

 

 「まず、俺たちはここから北へ2000kmあるクラスCの生産施設ダンジョン、通称子供の部屋エルドラド・クリバーへと向かう。途中で出会うだろう超獣モンスター討伐が大切だ。今俺たちがいる初心者の街と言われている場所から100km圏内は超獣モンスターは出てこない。だがそこからが肝心だ」


 つたない説明でみんなの顔から興味という言葉は失っている。リリフィアはこのタイミングで大きなあくびをした。


 自分の説明の下手さに自信を失いそうになるが、気を取り直して続けた。


「24時間体制で超獣モンスターを退治していく。操縦はテワオルデが中心となって行い、俺とギルガメキラムがその補佐を行う」


「……おい、爺さんたちはここに来ないのか?」とシンが口を挟む。


「そ、それは……、部屋に行ったんだがロックされていて……」


「はぁ? なんで俺たちが会議に出てるのに爺さんはサボってるんだよ」

「不公平だ」

「ブルーんだぞ」と不満の声が上がる。


「分かった、それはごめん! 俺も爺さんにはキツく言っておくから……、今は作戦に集中してくれ」


「……今度、俺たちの部屋にも鍵をかけようぜ!」「それはいいな」と4人は笑っている。


 その発言と嘲笑にイラっとしたが、こぶしを握り堪える。


「では、続けるぞ。24時間体制で超獣モンスターの討伐を行うための、ローテーションは以下の通りだ。俺がリーダーなので長く戦うつもりだ。それに、みんなより実践での経験が少ないのでレベル上げのためもある」


 テーブル上の空間にローテーションなどの情報が流れる。それを見ながら補足説明をする。

 

「基本的に寝る時間はそれぞれ4時間に設定する……。即応班と待機班A、Bの3つのグループに分かれる。即応班は基本3人で行う。マリは強いので彼女がいる時だけ俺と2人で対応する。即応班がクラスC程度の超獣モンスターを単独で対処するのが基本となる。超獣モンスターが群れをなして来ていたり、敵がクラスB以上の場合、または負傷時や異常事態の時も待機班が出動する。まずは待機A班から出る。……それ以上ならB班も出動し、万が一全滅の恐れがあるほどの敵に遭遇した場合、テワオルデや休憩中のメンバーも含め全員での戦闘となる。できれば全員動員になる緊急事態は避けたいが……。このような緊急時の判断は上から常に見ているテワオルデを中心として移動兵機を操縦している人が判断することとする」

 

「寝る時間がたったの4時間しかないのかよ」や「お前が全部しろ」とか、「異常事態なんて起こすなよ」などヤジが飛ぶたびに、集中が途切れたが、なんとか怒りを抑えながら全て言い切った。


「では、協力して欲しい。よろしくお願いします」と立ち上がり頭を下げてお願いした。


「……仕方がない、まあ俺たちも全滅なんてしたくないからな」と、ヘルドがまとめて、なんとか納得してくれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る