第47話 ハンターキラー②


 ハンターキラーの4名は路地の高所で集まった。


 1人は金髪でウェーブがかかり背中まで伸びているグラマーな美女で、もう1人はロングストレートの黒髪でスレンダーな体型をしており、やや眠たそうなしっとりとした目尻が艶めく印象を与える。

 

 ピンク色の獣人ケモナンは幅の広い耳が垂れていて垂れ目なのが特徴的だがうさぎなのか猫なのかよく分からない。だがそのもふもふした体は一度ハグしたい衝動にかられる。


 もう1人の人物は一番背が高く、チョコレートのような滑らかな肌をしていて唇がプリッとしている。金髪女性よりもさらにグラマーでついつい身体に視線を送ってしまう。おそらくこの女性が影から魔弾を撃ち込んだのだろう。軍用よりもさらに大きいマシンガンを肩に下げている。

 

「おい! どうする? 全然弱くねぇじゃん」

「ジジイまじでキツネー」

「いけるんじゃねぇっスか、あともう一押しっスわ」

「おい、お前ら、キメ技コンビいくぜ」

 

「「「ウィ〜〜〜」」」


 一瞬の油断も許さない緊張した場面で、雰囲気に合わないセリフが飛び交う。だがまた攻撃を繰り出してくるということは分かる。


 ケモナンと銃を持つ2人がより高所に飛んだ。早い速度で移動してすぐに姿を消す。2人の女性は他の人と連携を取るためかゆっくりと近寄ってくる。隙は見えない。


『気をつけてください、魔人並みの身体能力です』とミラクル。


 ごくりと唾を飲みマシンガンを下ろした。手汗をぬぐい剣にその手を掛ける。


 狭い路地での戦い。逃げ道はない。テワオルデさんが負傷しているしマリはおそらく自分への攻撃に対し反撃しかしないだろう。仕方がないここは。


 俺はマリの襟首を掴む。マリは「?」の顔をする。そして前の2人に向かっておもいっきり投げ飛ばした。


「おいおいおい、て、えめーコラ!」投げ飛ばされながら怒る。


 その時、上からまたピンクのケモナンが大きなナイフを持って飛び降りてくる。ミラクルの指示通り剣を出し、攻撃をかわす。


 いつの間にか後ろに回っていた女性からの魔弾はテワオルデが防いでいる。そして間髪入れずに反撃。何らかの魔法かわからないが、手に持っていた剣を大きく振り、衝撃波のようなものを飛ばした。その魔弾を撃つ人物が潜んでいる壁を破壊した。


 前方の美女2人は、いきなり飛んできたマリに気を取られイラついていた。


「何なんよこいつ」

「チビのくせにガチつよじゃん」


 マリは2人の攻撃をうまく交わして、時折り反撃をしている。


 そしてハンターキラーの4人は建物の上に飛んだ。

「ち、マジでテンション上がんねぇわ、こいつら」

「ジジィっぱねぇ」

「ガキもいかれてるっス。あのひ弱でさえ先読みしてるっし」

「もう行こう、次は闇討っしょ」


「「「ウィ〜〜〜〜」」」


 とそれぞれ泣き言をいいながらどこかに行ってしまった。


 一体何だったのだろうかと嘆息していると、頭に青筋を立てながら近づいてくるマリがいた。少し血のついた剣をしっかり握りながら歩いてくる。


「ま、待て。これには理由があるんだ」と後ずさる。


「てめぇぇ!!!」と剣を振り回す。


「ごめんなっさい!!」と逃げる俺は、死に物狂いでその剣をかわし続けた。


 テワオルデさんは苦笑しながら傍観していた。

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