第7話 帝国傭兵団
巨大な戦艦に乗せられた。古ぼけた文字が残っていてそこには帝国傭兵団と書かれていた。「傭兵団? 帝国軍といってたような」疑問が湧いてくるがそれどころではない。一歩艦内へ踏み入れると、次々と新しいものが視覚を通し脳を刺激する。強制的にここへ連れてこられ、連行されている状況ではあるが、もう苦痛では無くなっていた。いつもの事だから慣れてきた。
「この船は一体何? なんでしょうか?」
「傭兵団って書かれていたけどどうして?」
「なぜ何も話さないの?」
連行されるのに慣れていた僕は、とりあえず質問をぶつけてみる。この他にもいくつか質問をしたが答えはない。さらに無礼なことも言おうかなと思ったが、いきなり殴られそうな雰囲気がなくも無いので、ふざけるのはやめておいた。
船の中という事を忘れてしまうほど、通路やホールも広く天井が高い、その上豪奢な作りであった。通路自体が均一に光を放っているかのように見え、歩くだけでも楽しめる。ある扉の前で僕を連行していた軍人の方達が、簡単な説明をして解放してくれた。
「今の道を戻ったら帰れるかな」と思い周囲を見渡すが、脱走が成功するはずも無いのでやめた。
軍人の説明では、「ここが君の部屋だから好きに使っていい」「あとルームメイトがいるので迷惑をかけないように」とのこと。扉はもちろん自動であった。扉が開き部屋を見渡す。部屋は質素で、荷物の置き場も最小限。8畳ほどの部屋はガランとしていた。家具はテーブルとイスだけだった。少しだけ放心して立ち尽くす。
「お、新入りか。よろしくね!」突然の声に驚き、部屋の隅にいた人物に目を向けた。
赤い髪の女性がそこにいた。肩までの髪と綺麗な顔立ち。彼女の言葉には先輩のようなニュアンスがあったが、見た目は年下にしか思えなかった。
「一緒のルームメイトなんだから、ちゃんと挨拶してね。」
「あ、すみません。よろしくお願いします。」異性と2人っきりの部屋は予想外だったが、この時代ではそれが普通なのだろうかと思った。でも、寝る時とかはどうなるのだろうか。少し赤面していると怪訝な顔で見られて、つい顔を逸らす。
『やばい、変なやつだと思われたかも。これから一緒に生活するっていうのに気まずい』そのまま誤魔化しながら視線を動かし、部屋の周りを見回すと、ベッドや布団がない。
謂わば、ここは休憩室ってところだろうか。気苦労して損した。なるほど、そうだろうね。異性と一緒の相部屋だなんてあり得ない。と一人おかしな笑みを浮かべ、彼女から余計に気持ち悪がられてしまう。
冷却装置から解凍されてからまだ半年。その短い間に数々の試練を経験してきた。果たしてどこまで僕は不自由なのだろうか。一緒の部屋になったとすると彼女も僕と同じような境遇な人で不自由を感じているのだろうか。
女性は情報統合立網脳波装置
この
記憶の補助や演算、自動翻訳、視覚や聴覚の補正、さらにはAIによるアドバイスも提供する。多少の障害を持つ人でも、この装置のおかげでほぼ健常者と同じ生活が可能となっている。手を使わず、目と脳波のみでの操作が出来るため、全ての業種のビジネスシーンで活躍する。人々の日常生活にも深く浸透している。これはすべての人類が持つ、まさに新たな感覚と言えるものである。
保安、警察、警備の現場では、Brynkはより専門的なアドバイス、秘密情報の安全な閲覧・共有、強固なハッキング対策を提供する。また、護身のための簡易レーザー機能も搭載している。(体内外にバッテリーが必要)
軍事用途としてのBrynkは、体内に特別な装置を埋め込むことで、強力なレーザー銃や簡易バリア、宇宙服相当の機能を備え、酸素の循環までできる。これにより、Brynk単体で宇宙での戦闘も可能となる。さらに、外部からの視線を誤解させるステルス機能や、外見を変更する機能も持っています。
ちなみに犯罪抑制の機能もあり、強い負の感情を持ってしまう場合、いくつかのプロセスを経て最悪の行動を禁止している。全ての脳波による知覚情報はマザーと呼ばれる記憶媒体に保存されPOPIDというAIに監視されている。
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