第4話 現在

 歴史の話が終わり、現代の話へと変わっていく。


「数百年間大きな戦争がなかったこの宇宙で、45年前にとうとう大きな戦争が起こったの」彼女は説明した。


「はい」固唾を飲み答える。


「そして現在、この惑星も多くの人たちが遠征に行っている。今でも大きな戦線が20以上あるのよ」


「…………」言葉を失う。それが今現在行われている事? 先ほどの歴史の話同様、自分とは縁のない話に思えた。


「この惑星だけでも200億人以上が戦争に関わっている」彼女の話は、規模が大き過ぎて、頭に入ってこなかった。いや頭に入れたく無かった。


「私もいつこの星から離れて前線に向かうか分からない。それはきっと君もそう」


「そ、そんな、こんなわけのわからない星と時代に来て、まず戦争の準備をしなきゃならないなんて……。なぜ今戦争が起こっているんですか! なぜこんなタイミングで解凍したんだよ!」憤りを感じ、言葉が荒くなる。


「戦争の怖さも、歴史の教科書や動画で知っています。自分が冷凍装置の被験者にされる前も、実際に世界では常に戦争が行われてました。しかし、平和な国日本で育った僕にはそれは遠い世界のこと……。それが、まさか自分が戦争に行くだなんて。それも夢があると思っていた未来で!」感情が昂る。「自分はなんで、こんなに苦しまなければならないんですか!」

 

 少しの間をおいてリラリースは落ち着かせるように優しく言った。

 

「ショックを受けるのは仕方がないわ。誰も戦争なんて行きたくないし、数百年の宇宙の平和が突如壊されてしまったんだから。私たちもなぜこんな時代に生まれてきたのか……でも、それを悩んでいても仕方がないのよ」


 2人の間に静寂が広がった。

 

「はい、分かりました。それでも、自分は戦いたくない」と、少し落ち着きを取り戻し、心のままに言った。


「そう、正直ね。でも、多分それは難しい」


 リラリースの表情は悲しさに満ちていた。

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