Episode 119 お戯れの先にあるもの?


 ――まずは、進みたいと思える気持ち。その先に、楽しみを見出せること。



 解かれたリボンが語ることは、そこにあるものは懐かしさだけではないの。


 手を差し伸べるマリー姫。


「Xマス、楽しみだね。松近まつちか君も理解してくれたわ。これからは表舞台。ドミノは生まれ変わるの。Xという名の組織に。皆が生徒会の面々。行動隊長は私ということでね」


「マリー姫と一緒? 学園に通うの?」


「うん、そう。そらちゃんと組みたいと思っていたから。Xという名の秘密戦隊。それはスポンサーにある。十二月は其々の喩えが通じ、総仕上げの域……」


 今年はホワイトクリスマス。きっとそんな気がする。


 巷では十年に一度の寒波と言うけれど、本当に十年に一度? 夏の猛暑もそうだったけど、もはや種類の違うものになっていると思う。……温暖化に対する対策も考えて行けるよう社会派な一面も欲しいと思う。この学園には……


 依頼されたから動く。


 マリー姫のお考えは、やはり私と同じ。


 ドミノから一変した理由は、学園を守る正義のヒーローとなるために。


 それならどうして? マリー姫は、素直に私の願いを叶えてくれたの。するとクスッと笑って「それはどうかしら? 偶然の一致。私が学園を視察した感想なだけ」と言った。


 その結成こそが、Xマスのパーティー。


 忘年会とも新年会ともどちらでもない、設立を祝う会なのだ。


 その日は、松近さんのお誕生日。そして何と、戸中となかさんも同じ日なのだ。雪の中をソリで走るイメージが浮かぶ。戸中さんだけに、どうしてもトナカイさんのイメージだから。


 何もなかった頃を思えば、想像もできなかったことなの。今この時……


 待ち遠しく思える程。そこには憂鬱なんか存在しなくて、楽しいXマスが浮かんでくるから。明るくなる秘訣は、きっと前向きになれることにあると、そう思える瞬間だった。




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