Episode 118 侵入というよりも突入?


 ――五人が集った。正面から堂々と、まるで行進のように。


 白い御城に入る。入口を捜す間もなく回転ドアから入った。難なく入れた……と、胸を撫で下ろした途端、床が抜ける? ではなくシャッターみたいに開いたのだ。


 敵のアジトに侵入した時によくある罠。……今時こんな仕掛けは珍しくて、


「ワーッ!」と、棒読みな間抜けな悲鳴。


 五人が五人とも。落ちる床よりも下へ。地獄の一丁目? と思いつつも、弾むのと跳ねるのと弾力のある地の底。まるでトランポリンのような感覚。驚きは驚きだけど、どうしてか……「そらちゃん、何笑ってるの?」と、戸中となかさんの声が響く、一応は闇の中。


「懐かしい感じ。このまま飛び跳ねているとね」


「アスレチックへ繋がってるのだったね。網網やクライミングもあったよね」


 私もお姉ちゃんも、いつしか幼き日の記憶を紐解いていた。触れることで思い出す。あれから十年程の歳月となるけど、変わっていないことに感激していた。あの頃と、楽しさまで同じ。特に佐助さすけ君はトランポリンがお気に入りとなった。ハイジャンプ、何処まで飛び上がれるのか? 挑戦してみる……理想は五メートル。水の中から出現した時、蛙飛びを決める。この技を極めたなら、まさに無敵。そう感じた時だ。


 照明が光った。


 すると空中から現れたのだ。


 シュッと身軽なマリー姫。トランポリンで跳ねて空転しながら、


「皆、身体の切れが良いみたいだね。さあ、始めましょうか?」とか言うものだから、


「何を?」と、佐助君が訊いたの。するとマリー姫は、じっと彼を見て「成程ね、忍者ごっこもやってたね、かいちゃん」と、お姉ちゃんに訊いたのだ。これって……


「あの頃と変わんないね、マリーちゃん。久しぶりだね」と、瞳に浮かんだ涙。


 紛れもなく再会。するとね……今度は私を見る。スーッと解く、私のリボン。ポニーテールが解けた時、時の魔法も解けたの。「空ちゃんね、こうすれば、あの頃みたいに」


 私のリボンを解いたのは、マリー姫。あの頃は、髪を下ろしていたから……



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