Episode 117 心は、あの頃のように?


 ――思えば私とマリー姫には年齢差があった。なら、何故に同じクラスなの?



 その様な疑問が忽ち、脳内に広がって行った。でも、お友達には違いないの。もっと思い出す、その記憶の奥深くまで。地上から地下へ潜る様に。喩えるなら地下に蔓延る鉄道の様に。御堂筋から堺筋、谷町線や四谷線も皆、地下を走る仲間たち。私は思うの、そして信じている。マリー姫は純粋にヒーローが大好き。平和を愛する心を持っている。


 秘める思いは肥大する、心の中から溢れる程に。


 そこで蘇るあの頃……


 お姉ちゃんと一緒。実は、クラスが同じだったのは、お姉ちゃんの方だったから。


 戦隊ものごっこ。三人組。ほらほらほら、この白い御城こそが、私たちの秘密基地だったことも蘇る……蘇るの。ちょっぴり笑えて……「また会えたね」と、囁いていた。


 ギュッと、握られる手。


「行こう、そら」と力強く、陸君りっくんは言う。それ以上の言葉がいらない程に、お互いの表情と仕草が物語っていた。そこからは駆け足。これまでの長い道程さえも帳消しにした。


 それ程までに軽い足取り。


 その先にあるトキメキに勝るものはないように、未来さえも明るく見えてきたの。


 そして近づく、白い御城。


 その直前だ。声を掛けられた。懐かしくも思える声。声たち……


「空、中々帰って来ないと思ったら」と、お姉ちゃん。


「ずるーいよ、空ちゃん、私を引き留めておいて自分は何?」と、戸中となかさんもいて。


「まっ、そうだな。ミッションの前に、考えてることは皆同じってこった」と、佐助さすけ君まで現れたの。まるでドロドロドロ……と、召喚されて現れたように。


 ドミノのメンバーが勢揃い。ミッションでもないのに? 私は驚きを隠せずに……「何で?」と問う。その答えは誰に? 「皆、空と同じようにヒーローが大好きってことだ」


 と、意外にも佐助君が答えた。親指を立てながら、いつもにない笑顔も見せて……



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