Episode 120 レボリューションは旬?


 ――革命というよりも、この場合はレボリューション。


 少し軽めな感じが良い。血は流さずに犠牲もないから。



 マリー姫の決断は、明るい未来を齎した。それはまた、私が望んでいた学園生活。でもでも私以上に、それを願っていた人がいる。そこで今日は、その人のために……


 千羽鶴を贈呈することになった。


 行われる場所は、元アジト。……新装した応接室なの。


 組織名はもうドミノではなく……Xならぬ、エックス。


 応接室の席にはもう、マリー姫の姿がある。その横には、松近まつちかさんと戸中となかさん。組織の構図は成り立っていた。マリー姫の迅速な対応は、日本の内閣を遥かに上回った。


 事が起きて一週間も満たないうちに、エックスを中心とした生徒会の動きは安定したものとなっていた。マリー姫は、誰とも仲良くなれそうな子のようだ。初めは独裁者のような趣に思えたのだけど、松近さんと同じく、本当は優しすぎる程に優しい人なの。


 その優しさは、とても羨ましく思えたの。


 ヒーローを目指すものとして、とても欲しいものだから。優しさは、真の勇気。争わなくても正義を示しているから……私は今、その組織に身を置いている。誇らしく。


 胸を張れるようになりたいから。


 そして今、千羽鶴を陸君りっくんは抱いている。これから贈呈が始まる。


 向かい合わしているのは、ウメチカさんだった。陸君と春美はるみさんが折って集めた千羽の鶴。それは、これから未来へ向かいゆく、新たな親子へ贈るもの。


 今はもう、見た目でわかる、新たな生命の息吹。


 ウメチカさんのお腹の中で、成長を続ける生命。


 受け取るウメチカさん。ありがとうの言葉と共に、笑顔の雫……通常ならば学園問題となることだけれど、それさえも包み込む、マリー姫の懐の広さ……私も願うの。その様な学園であることを。明るい未来を信じられるような学園へ、変わってゆけるようにと。



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