第十九章 ギンギラなこと。

Episode 091 白昼堂々の対決? ドミノ同士。


 ――舞い散る白煙。白昼堂々と教室の中で。火花散る苦無と鍵爪。お互いの武器。



 苦無はひいらぎ君の武器。下の名前は佐助さすけ君というだけあって、まさに忍者の風格。松近まつちかさんは煙幕? 小型爆弾のようなものを常備しているようなの。そして仕込みの鍵爪で切り裂くような感じだ。……信じられない光景。ドミノ同士が、仲間内で戦っているのだ。


 何故こうなったの?


 すると、佐助君は声にする。


「この間の狙撃犯といい、銀行強盗未遂犯だってそうだ、全部お前がらみじゃないか。俺たちは何も知らずに巻き込まれて……お前、一体何をしでかしてるんだ? 何を企んでるというのだ?」と。その思いは私も同じで、彼は代弁してくれた。そして興味が生まれたの。松近さんという人物がわかれば、ドミノという組織の真実がわかる。善か悪か。


「フフフ……まだまだだな。まだ僕という人間をわかっちゃいない。君は、この無益な戦いをどう思う? 仲間内で争うなど愚かなこと。そんな輩には思い知らせてくれる」


 悪魔のような表情。時折見せる眼鏡の奥でギラリと光る目。


 その時だ! お姉ちゃんは動いた。


 金色の糸が輝いた。キュルルルと音を立てながら捉える、白煙に隠れている黒ずくめの忍服姿の男。悲鳴にも近い声、確実に首を絞めている糸、手繰り寄せるお姉ちゃん。


 そしてまだ、放たれる苦無は刺さる。松近さんの背後まで近づいてきている黒ずくめの忍服姿の男、二人目。苦無が刺さった場所は腕。落ちる凶器の青い柄の小型ナイフ。


 私は頭の中が真っ白……


 何が、何が起こっているの? そう思っていると「そら、後ろだ」と松近さんの声。


 咄嗟にしゃがむ。シュッとナイフを躱していた、紙一重の差。そのままクルリと回って足払い。旋風脚の応用版だ。転ぶ相手……これもまた黒ずくめ。三人目だ。誰もいない正門辺りから誰も。陸君りっくんを乗せた遠ざかる救急車の野次馬となっているから。今教室には我らドミノの面々と、黒ずくめの三人だけ。これもまた、敵を欺くには味方からなの?



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