Episode 090 季節の変わり目、騒めく教室で。
――今年になって初めて聞く『二季』という単語。これまでとは異なる一年。
十年に一度という猛暑のあと……
けれども、もはや種類の違うものと思われる。今年の夏の暑さ。それに今のこの気温とかも。駆ける救急車は学園の正門前に止まった。サイレンの音を埋める騒めきの中で。
隙間もなく、ぶつかり合う廊下。
倒れたのは、運ばれたのは
何が、何があったの? 私は掻き分ける人混み。そして正門の前まで……
見える救急車の中、陸君が呻き声を上げながら、お腹や背中を押さえのたうち回っている。横になるのも辛そうな感じだ。……私は乗り込もうとしたら、グイッと、
引っ張られ、制服の上着の裾を、振り返ると、そこにはお姉ちゃんがいて、
「
私は手を引っ張られ、お姉ちゃんと一緒に廊下を歩いた。人混みから離れながら。次第に息は整う。それも束の間、響いてくる会話から変貌する怒鳴り声。男子生徒の声だ。
すると、私は手を引っ張られる。
お姉ちゃんが駆け出したから、何々と思いながら、私も走らされる。しかも全力疾走だけれど、息は弾みながらも、足の速さは私の方が勝るから、余力は保てている。それはまだ良かったのだけれど、いざこざが巻き起こっていた。よりによって私の教室でなの。
怒鳴り声の主は、私もお姉ちゃんも驚愕する程の人。
何と
お姉ちゃんが仲裁に入ろうとするけど、私は咄嗟に止める。グイッと腰にしがみつきながら「待って、何があったの?」と私が言うと、お姉ちゃんは私を振り解いた。尻餅を着く私……苦無を構える柊君。対峙しているのは
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