第十六章 ルンルンなこと。

Episode 076 始まりし十月、冬の翳りも。


 ――今思えば、短かった夏。いつの間にやら衣替えの時期。


 百円均一は、もうハロウィン・グッズで今月末を心待ちにしていたの。



 そしてドミノも、今月末にパーティーを開こうと企てていた。そのパーティーは、もちろんハロウィンパーティー。仮装とお菓子はお約束なので、各々が自覚して……


 それはさておき、早速のミッション。


 その内容とは……な、何と、銀行強盗を阻止せよ! ……だった。校長室と職員室の境の場所に集った五人。その中の松近まつちかさんが、そのミッション内容を発表した。そしてその五人の中には私も陸君りっくんも。更にお姉ちゃんとひいらぎ佐助さすけ君も含まれ……って全員だった。私が知っている範囲の全員だ。でも松近さんは、


「今となっては何人いるか。この倍くらい。……海外で活躍しているエージェントの二人もいるし、元は僕の秘書だった鞭使いも留学に成功し、二人の後を追いかけて行った。更には音信不通になってるけど、ルアー使いも、カーネーション使いも……記憶を辿るとキリがないくらいに」と、追憶の彼方にまで行きそうな目をして語っていたの。それに交えて今回のミッションは、実はまだ、その事件は起きてないとのことだ。これから起きること。つまりは未来に起きる事件。……考える、この瞬間から考えることは、対策。


 いかにして未来に起きる銀行強盗を阻止するのかを。


 しかしながら犯人も、どの銀行で起きるのかも、まったくもって検討もつかない。いやいやいや、それ以前に不可能なのではないかと、周りを見ると、お姉ちゃんは呆れ顔で佐助君は右から左に受け流したような感じの表情。二人とも返す言葉もないくらいに、それでも言えた言葉は「パスです。ということで帰ります」と。それが精一杯の言葉だ。


 頭を抱えながら、この部屋から出てゆく二人を見送る松近さん。


 流石に可哀そうに思えて、私は「……何かありませんか? 手懸り的なもの」と、言ったのだ、自発的に。陸君は「空、その心は?」と問うも「なぞかけ。その様な声明文でもあったのでしょ?」と、その心に対する答えも、松近さんへの問いも同時にしたの。



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