Episode 077 時には、カルメンのように。
――声明文は存在していたの。やっぱり思った通りだ。
何故わかった? の問いに対しては、それがなければ銀行強盗が行われることを察知するのは不可能と思われるから。まして未だ起きてない事件を知ることなど、予知能力でもない限り……できたのなら予言者となれる。今後の人類の進化などわかることだろう。
そして見ることになる声明文……
手書きなど有り得ない、新聞の文字を切り取って仕上げた文章。筆跡鑑定を避けるがために。例えば私が犯人でも同じことをする。当然とも言えること。ならば、よく観察するの、その声明文。このミッションに於いての唯一の手掛かりだから。
どこどこの銀行を襲うとか、時間帯も書かれてなかった。只々、銀行を襲う……としか書かれて……いやいや文章にされていなかった。でもでも、何故? わざわざドミノ宛なの? 誰をターゲットとしている? ……それは、
そうであるなら、
「松近さん、今この瞬間から貴方のお傍にいます」と、心を決める。
驚いたのは、陸君も同じ。今のこのお部屋の中、私は紅一点。そして
そこにあると思うの。
私が思った謎かけの、その心が。
きっと、松近さんの行動にある。これから犯人になる人は、この瞬間でさえも盗聴や盗撮の限りを尽くしていると思うの。何故そう思えるのか? 当然の問いだと思う……
それは何のメリットがあるのか、犯人になる人にとっての。
捕まれば刑務所によって身が守られる。一日三食付き。生活苦の壁を打ち破りたい、という前向きな思想とは懸け離れているけど、飢えからは逃れられる。そしてもう一つの思考だ。ドミノの力量を知ることができる。なら、犯人になる人は、この学園にいるの。
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