Episode 072 とある招待と正体……


 私は連想していた。


 この学園で活躍する戦隊のようなヒーロー。ちょうど五人揃っていたから。


 ……でも、やっぱり違うの。あのお部屋に置かれていた地球儀が、まるで世界征服の象徴に見えるように、学園を支配しようとする悪の組織に……見えたの、一瞬でも。


 松近まつちかさんは言っていた。


「これは革命なんだ。レボリューションなんだ。今の社会の流れと同じように、実際は何一つ解決してないんだ。蔓延る学園を利用した金儲けの数々。権力者というのは、いつの時代も私利私欲で……僕らは庶民がその代替わりをしてるのだよ。表の世界は一見、ウメチカブームの影響もあって潤ってるように見えるけど、裏側なんて見えちゃいない」


 今の私も、多分だけど、ウメチカブームの中にいる。


 あくまで笑みを浮かべて語った、その裏側のことを。松近さんの見る世界は、お姉ちゃんたちが見ている世界……私がかつて体感した、不登校の原因となった出来事。それさえも一部にも、氷山の一角にもならないような、もっとドロドロと蔓延る出来事だ。


 するとポンと軽く、私の肩を叩いて、


そらは難しいこと考えなくても、ただ想い描くヒーローを目指せばいいさ」


 と、陸君りっくんは言った。そして更に「ドミノの一員となっても俺は変わらないし、……喩え何もかもを敵に回したとしても、空は俺が守る。俺と空は一蓮托生だから」


 笑みを浮かべて、熱く、身を寄せる私。


 陸君は受け止めた。受け止めてくれた。歩く廊下。あのお部屋を後にして、ちょっぴり冷たさも感じる廊下。そこで再会したウメチカさんたち……そして今に至るの。


 バッタリと会った、この場面に。


 そして陸君が、


「あなたがウメチカさんですね。空が応援してましたよ。これからも良いお話、綴って下さいね。そう、これからですから……」と、別れを切り出し立ち去ろうとした、まさにその時だ。こだまする声は「ちょっと待ちなさい!」と、ヒーローらしくも……



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