第十五章 ランランなこと。

Episode 071 その前にちょっと……


 実はというと、私と陸君はある場所に用事があったのだ。


 ウメチカさんたちとの再会を前に。この学園を志望した目的。それは学園案内などには載っていない、もう一つの世界……お姉ちゃんと同じヒーローの世界へ誘われたの。



 そこは境の場所。ある種の境の場所。


 表でもなく裏でもなく。例えば生徒会と、その裏側にある組織。その名はドミノ。


 境の場所といえば、校長室と職員室の境にある部屋。そここそがアジトと言われる場所なのだ。渋々……お姉ちゃんは案内してくれた。私と陸君りっくんをそこへ案内してくれた。


 開かれるドア。その奥は、まるで会社のオフィスにも似たり。


 そこにいた人物。……何となくだけど、漂うブラックなオーラ―というのか、不気味さにも似たような感じ……でも見た目では判らない。見た目は真面目そうな学生なの。


 眼鏡の、ごく普通の男子生徒……


 しかも名乗ってくれた。影の存在でも……


 松近まつちかという人だ。語ればドミノという組織のリーダー格なの。しかも、私と陸君と同じ学年というから驚きだ。お姉ちゃんよりも下級生。そして、そしてだよ、初めて知ったことがあったの。お姉ちゃんには彼氏がいた。喩えるなら……まるで忍者みたいな人。


 背はね、陸君と同じくらい。そして年齢も同じという……


 ちょっと怖い感じの、目つきが、とくに陸君を睨んでいるような。しかしながら名乗ってくれた。佐助さすけという名前だ。猿飛……ではなくて、ひいらぎ佐助。


 自己紹介を兼ねたということはね……


 やはり『君の今日からは僕らの仲間』的な感じの。つまり私と陸君の加入を意味していたのだ。「ようこそドミノへ」と、声高らかに松近さんは歓迎してくれた。


 それでもって、そもそもドミノって何? 私は正義の味方や学園のヒーローって解釈をしていたけれど。松近さんの説明によって、少しばかりの胸のつっかえを覚えたの。


 私が思っていたのとは、異質だったもの。悪も混載しているように思われたから。



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