Episode 070 ようこそ、ヒーローの入口へ!
――時は九月。夏の終わりを告げる筈だったけど、まだまだ続いている猛暑。
制服も初めて袖を通し、陸君も私も今よりピカピカの一年生と、燥いで登校。……すると、いきなりの校長室へ。告げられる登校日の真実。……というのが正しいのか、
「今日じゃなかったの? 二学期。嘘嘘嘘嘘……」と、私は喚いた。実は言うと、もうすでに始まっていたのだ。それでもって呼び出された。校長先生や担任の先生の前。
「嘘じゃない。ちゃんと聞いてた? そして書面にも書いてたよね? それにしても、まさかね。二人揃って登校日を間違ってたなんてね」と、怒られるどころか笑われたの。
しかも、
「だから二十四時間テレビの日、大丈夫なのかって、明日なんじゃないのかって、俺訊いたよな?
と、言う始末。……何それ? 私に責任転嫁? 自分だけいい子になろうと?
「お姉ちゃんに確認したよ。陸君だって一緒にいたでしょ。ちゃんと聞いたもの」
と、お姉ちゃんに責任転嫁して……いや、本当にそう聞いたの。それは嘘じゃない。
ということで、この後、お姉ちゃんは呼び出された。
こってり絞られたとの感想を拝聴するに至ったのだ。この日、お家に帰着してから。
まあ、その前に……
廊下でバッタリと、校長室を後にした午前の風の中。
「あー久しぶりですう、ウメチカさん」
会えたのだ、早速。挨拶も完璧の筈。なのに、なのに……
「まさか、お忘れなのですかあ? クスン……空ですよ、空。九月から、晴れてこっちの生徒になりました。ま、まあ、少しばかりハプニングがありましたけど、宜しくね」
と、またも挨拶からの始まりとなる。
でもウメチカさんは、何だか私と視線を合わしてなさそうで、どちらかといえば陸君の方に合わしていたような感じ。確かに、陸君とは初めての顔合わせになったから?
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