Episode 059 爽快! この先へと。
――編入試験は、三教科とも終了。今日この場に集った七名は、其々の帰路へ。
陸君以外はいずれも今日初めての面々。
何処から来られたのかも知る由もなく、会話もそれほどなかったけど、二学期にこの学園の何処かで会えることを楽しみに、ここで別れた、散り散りに。……そう思っているのも私だけかもしれないけど、この学園での生活が始まったならば、皆が笑顔で通えるようにと願うばかり。私も
きっと、お姉ちゃんは望んでいないかもしれないけど。
それはそれは何処か腹黒さも感じられるところがあるようには見えるけど……私がよく知っているの。本当は、優しすぎるくらいに優しい人と。誰も知らないだけ。お姉ちゃんの素顔を。私にしか見せない顔があるから。ウメチカさんも見たことがない顔だ……
あっ、
そこでハッとなった。
明日なの。ウメチカ戦の開幕が。今は七月の三連休が始まる前。本来なら一学期の終業式だった日。私たちは、学園の在学生とは接触しなかった。その在学生の中に、ウメチカさんがいるということ。でも、お顔は知らない。得ているのは特徴のみ。一目ではわからない程度の情報だけだ。すべては明日、ハッキリすること。
朝までは充分に待てる好奇心だ。
そのことを胸に、私は陸君と一緒に電車に乗る。ちょうど駅のホーム。そして電車が来たから。遠くもない近い距離。北陸の電車に比べると、遥かに本数は多くあっという間。
間隔もそんなにはない。
待ち時間も走行距離も。だからこそ小刻みな感じでカメラに収める、その時々の風景。
でもまだ、走る電車を撮影するスキルはない。私自身がまだそこまで求めてないから。
駅の風景で胸がいっぱいだから。それが私の足跡。いた証を残してゆくことに、今はまだ夢中だから。私はもう、何があっても引き籠ることはないだろう。お外へ繰り出すの。
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