Episode 058 出陣! 時来たれり。
――向かうは志望校。今日この日、遂に編入試験。晴天に見舞われた。
お姉ちゃんにとっては見慣れた風景。でも私と
最寄りの駅から電車で移動。……四駅という名の駅で下車する。そこからは道なりに道なりに。静かなる朝の風と戯れながら、蝉時雨も爽やかなる調べとなる。
お互い会話はない。私と陸君は並んで歩いているけど。
会話以上に動いている、活性化された脳内。カタカタカタとリレーが弾くような、その様なイメージ。数式や図形などが繰り返され、文章問題も虫食いを埋めていた。近頃の試験問題とはどの様な形式? マークシートではないのは確かだけど、近未来な学園と聞いたことがあるから、タブレットに出題されるとか? いやいや、やはり古式縁な形式。
教室で試験に挑む生徒たちは、私と陸君以外にもいた。
席に着くと、その人数は七名。配られる試験問題……やはり紙。プリントされた問題なの。紙の香りでさえも新鮮で印象に残るような要因。緊張の空気も少しは和らぎ……
ウェストミンスターの調べと共に、開始される試験。
鉛筆が走る音が目立つ程の静けさ。まるで裁判所のように静粛な場だ。
だけれど……
流れるような回答。埋まる埋まる解答欄。鉛筆の転がる音など聞こえる間もなく埋め尽くされる。私は思うの、私と陸君だけではなく今日この場に集った皆が合格できるようにと。きっと何かの縁で顔合わせとしたと思えるし、きっと、よき友人になれると……
そして私たちを見守っている試験官は、とても優しそうな人。与えるものは緊張感とは懸け離れたもので、ソフトに包み込むような……和やかな空気。ここに来るまでのイメージを一変させた女の人。試験官は女の人で、ボブでちょっぴりポッチャリ系な柔らかそうな人。あと……名札に記載されている氏名が『
試験は三教科。彼女は国語担当だった。そして英語、数学は男の試験官だった。
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