Episode 052 だけど、出発の時は大団円で。
――日常と何ら変わらない穏やかな雰囲気でも、時近付くにつれ益々慌ただしく。
夢でも幻でもなく、やはり今日という日も変わらずに、その時はやってくる。
右から左から後ろから前から……気付けばもう目前に。例えばこのドアを開けて踏み出したのなら、そこには見送りの人たちがいたの。この青空スタヂオにいる従業員の面々たちや、社宅に住む、その御家族も併せて。中には、私と近い年の子もいて……
「
結果がわかるまでは、小松市に。
小松の
今はもう同い年だね、彼とは。
永遠の十五歳と言っていたの。ウメチカさんともお知り合いだから。同じ名字の
親族とも言っていた。そしてウメチカさんは、旧一さんの姪に当たるそうなの……
旧一さんは、もうこの世にいない人。
幽霊だけど、とても優しい幽霊なの。この人から学んだ優しさ。ヒーローの根源だ。
そのことも胸に秘め、私は旅立つの。
だとすれば、もう一眼レフのカメラに納まっているの。初めての景色ではなくなっていた。武生駅は単発だったけど、福井駅から大聖寺までの各駅も、今ではもう守備範囲。空色のPCにもメモリーされている。私の一年間の集大成と言っても過言ではなかった。
と、語っている間に見えてきた、加賀温泉駅と、その周りの風景も、包み隠さずに。
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