Episode 043 練習には強いけど、本番は?


 ――ボカッ!


 アッサリやられた。


 その効果音を響かせながら。引っ手繰りを追跡中に。


 目の前が真っ白に。

 明らかにヤバい奴。飛んだ、意識が飛んでいた。



「やあ、お目覚めだね」……と、知らない男? いや、男たちだ。よく見れば……巻き戻される記憶の糸。以前も以前だ。フリースクールの登校中の松任駅で、少年を恐喝していた三人組も含み……「まだ懲りないの? 私に簡単にやられたくせに。でも、ちょっとはバージョンアップしたようね、恐喝から引っ手繰り。列記とした犯罪なわけで、手加減なしってことだね」と、まだ薄れる意識の中で言う。身体は動かない。縄で縛られ……


「どの口が言うんだ? 簡単に捕まってるくせに。何ができるって言うんだ?」


「あぐっ」と悲鳴が漏れる。


 蹴られた。お腹も、顔も少し……


 恐怖も怒りも混ざり合って、熱くなっていて……ダメダメ、ここは冷静に。状況整理に脳は励む。まず今いる場所は、廃ビル? そんなものはこの付近にはなくて、廃屋だ。


 私は縄で縛られている。人質のように。


 叫んでも、ここは薄暗く誰にも。男は四人。あの三人組の他に知らない顔が一人。三人のリーダーなのか? まるで黒幕。何だか刑事事件に発展しそうな内容のよう。


 何が目的なのか?


 私は取り返したいハンドバック。因みに私のではなく、自転車で走っていた小母ちゃんの物だ。価値は解らないけど、ブランド物とか言っていたような……でも、ないときっとお困りになるはずだから、絶対に取り返すの。そのためにも戦わなくては……


 でも、彼らの目的も知りたいの。さっきから何やら計画らしきことが聞こえてくる。私が訊いてよかったのだろうか? とも言える内容。それでも伏線たちは繋がってゆく。



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