Episode 038 レトロな世界観へようこそ!


 ――それは緑の奥深く、木漏れ日の中を歩み行くと、忽ち出会えた。



 因みに今日は月曜日……


 椎名しいなのオジサンが、お仕事がお休みの日。つまりは公休日。昔は週一回だったそうだけど、今現在は、働き方改革もあって週休二日制が定着していた。明日もまた……


 なので、陸君りっくんは椎名のオジサンと、お泊り含めての男旅となる。


 手取川を越えての、恐竜博物館がメインだそうなの。男の子って、やっぱりそんな感じなのが好きなようだ。幼き日からそうだった。陸君が興味のあること、恐竜……


 そして思い出の中にある、

 陸君が語る男のロマンは、まさにビッグバンから始まり、地球誕生の物語が綴られるという……宇宙規模のスケール。あ、そういえば、ウメチカさんのお友達に、お星様が大好きな女の子がいたのを思い出した。それは、とある小説サイトの『書くと読む』でのお星様ではなくて天体観測の方。そうそう、マシンガントークが特徴な女の子だ。


 マシンガントーク……う~ん、陸君と気が合いそうな、と思ったのだけど、陸君自体が大人しい方だから難しいかも……やっぱり、私以外にないだろうと胸を張る。


 そんな思考に流されているうちに、


そらちゃん、ここだよ。どお? まるでミリタリーモデルに出てきそうな感じだね」


 と、春日はるかさんの声と共に、その『とっておきの場所』に到着していた。金網の向こうに見えるものは、錆びついた機関車。明治、大正、昭和を語りそうな趣で、堂々たる威厳をもって、そこに存在している。しかも何の上に乗っていると思う? レールの上はレールの上だけど、転車台の上なの。ここは小松だけれど、まるで迷い込んだ、違う時代の違う場所のように思える。何しろ、鉄道運転所なのだから……って、そんな所あったの?


 クスッ……と、


「信じるも信じないも君次第。でも、紛れもなく今、私たちは同じ景色を見てるから」


 と、春日さんは言う。夢現な感覚は絶えないけど、間違いなく、今目の前にあるの。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る