Episode 024 今日が記念日であるのならば。


 ……私の旅のお供といえば、やはり一眼レフのカメラと、何よりも陸君りっくん



 思い起こせばフリースクールの登下校の道程にある駅たちの写真が撮れたのも、一眼レフのカメラと陸君のアプローチのお陰。二人だから記念に残せた写真たち。


 メモリーズは、PCにもカメラにも、心に刻むエピソードたち。


 書き手としての執筆は、やはりPC。空だけに空色の天使のようなノートパソコン。記念日は、エピソードを更新する度に増えてゆく。私の青春の一面。


 ウメチカさんのように、私も輝けるかな?


 刻一刻と、間違いなく近づいてくる、大阪へ帰る日。すると握られる手……温かく。


そら、これは第一歩だ。俺、この旅路の終わりに言うよ、お爺ちゃんに。我がの決意」


 いつもになく真面目な趣の陸君。


 今はもう北陸新幹線の車内に身を置いている。これもまた指定席……って全指定か。それでも粋な計らい、椎名しいなのオジサン。宿さえも予約済みのようだ。


 宿……


 北陸新幹線を下車したなら、歩いて五分程。砺波の街並みと言うべきなのか? 思いの外、緑が香しいカントリーロード。もうすぐ夕映えに届きそうな、そんな時刻。


 すると!


「お客さん、こっちですよ、こっち」


 声を掛けられ、女の人。……声を掛けられ? 椎名のオジサンが予約した宿なの? よく見て、看板を。よく見る……看板と言うよりも幟。だったら民宿という感じの……


 怪しいとこ? お互いの顔を見合わせる、私と陸君。


「怪しくなんてないですよ。それが証拠に、椎名浩司こうじ様より承っておりますので、お二人のこと。それから『最高のおもてなしを宜しく頼む』との私共の御心も御考慮の上で」


 と、深々と……


 そこから奥へ奥へと、ドリームワールドが広がるような、そんな予感も兼ねながら。



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