Episode 022 進めば二つ手に入ることとは。


 ……そう。進んでいるの。この章のゾクゾクの意味はね、続々ということ。



 未来へ繋がる今。そのために進む。


 数多くのワクワク感を乗せていたに違いない。前向きに進みゆくサンダーバード。この日を迎えたの。ポッと温かな光を心に灯す休日。連なる休日は、まだ始まったばかり。


 私と陸君りっくんの旅路も、今まさに始まった。


 サプライズという名の、仕組まれた旅。鮮やかなる色たちが迎える、砺波の地へ。



 電車のオンパレードだけど、今はもう……


そら、チューリップフェアは初めてなのか? それにしてもまさにタイムリーな、粋な計らいだな、椎名しいなのオジサン。この形の誕生日プレゼントは、俺も初めてだし……」


「そうだね、初めても初めて。この形のお誕生日もチューリップフェアだって。陸君はあるの? 砺波へ行ったこと。私はさっぱり……この先どう進むのかも含めて……」


 このように、会話だってできるように……


 それは君がいてくれるから。陸君がいてくれるからできること……


「前にも言ったろ? 俺たちは二人で一つだって」


 と、陸君は言う。その言葉は今この時だけを指しているのではなく、そう……そう思いたい。今それを声にすることはできないけど、その時の陸君の表情が物語っている。


 思い込みや思い過ごしではない、少し未来でわかること。


 そう長くはない、そんな日に……


 でも、


「まだまだだね」「ああ、まだまだ」と言う程、道程は長く、金沢で乗り換えとなるサンダーバードからの北陸新幹線。そこからまたJR城端線へと線は変わる。三段構え。


 だとしたらまだ……


 サンダーバードの中。金沢にさえ到着してないのだから、始まったばかりに入る。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る