Episode 019 陸、その想いに。


 ――ユラユラと揺らめく。そんな感覚だった。



 例えばこの陽炎のように。陸君りっくんが好きなのは、私の方と思っても……思い込みだったらどうするの? もしかしたら、お姉ちゃんの方なのかもしれないし……


 そんな感じの疑問符が、脳内を飛び回り駆け巡る。それを打ち消すようにと、私はこのロマンチックなお星様たちが見ている中で、ギュッと、寄せるこの身を。


「どうしたそら? 密着度半端ないけど」


 と、身を寄せる相手は、もちろん陸君で……何か、胸が熱くなってきたの。


「ねえ、私のことどう思う? その、何と言うか……」


 と、もどかしい程、上手く言葉にできない。文章化でも難しい内容で。次第に目立ってくるドキドキ感。胸だけではなく、お顔までもが熱を帯びる。感じる息遣い。


 深く息を吐く、陸君の鼓動も……


「そうだな。一つ謝らなきゃいけないことに気付いたんだ。俺、どうかしてた……」


「どうかしてたって、私のことで?」と言うも、その意味は自分でも解らずで……


「ああ。昨日のこと、言い過ぎた。空の仕草が、余所余所しく思えて。何か、椎名しいなのオジサンと徒ならぬと言うか……あ、でもだな、あの人はあくまで保護者だしな」


 と、陸君らしくない言葉の運び方。このお部屋は今、そんなには明るくなく……お星様メインの明るさ。プラネタリウム程の照明を意識しているから。それでも判る、いつものポーカーフェイスとは異なっている陸君の表情。動揺も動揺? そんな類の感じだ。


「陸君、もしかしてヤキモチ?」


「おいおい空、お前それ意味わかって言ってるのか?」


 その答えは、もちろん「わかんないよ。あ、でも、椎名のオジサンってパパみたいな感じの人だから。でもカッコイイな。ダンディー中年って感じで、それに秘密も……」


 はっ、口が滑って……


「空、今秘密って言ったよな? 何だ、その秘密って?」と、食いついてくる陸君。



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