救世主

隠されるなら障壁でも、群がるハエでもなく

簡単に負けを認められるほどの光で

その輝きで俺たちを隠してくれよ

だったらプライドも忍んでいくさ


闇深い社会

心を殺す世の中

生きながら魂殺す日々

そんなんだから勇者に憧れるんだろ

魔王に支配され尽くした舞台ばかりなんだろ

あー、飽きた

その臭い紙幣で、気持ちは満たされたいとは思えないね


ああ早く、俺たちを救ってくれ

正義の鉄槌、救世主!

・・・・・・

ヒーローは遅れてやってくる

まただ来ないようだね

クソ野郎


願っても祈っても変わんないから

この忌々しさはあるんだろ

だけど希望なんてなくなるほどに

足が動かせないほどに

俺たちは疲弊していた

誰かが俺たちに少し励ましてくれるなら

まだ屍にならずに勇者でいられるんだ

それも切なる願い

救世主は君なんだよ


地位と名誉と金が欲しいって

強さがあれば生きられるって

それを言ってたやつを恨んでなかったか

お前の魂はどこに行ったんだよ


戦いたくも無いのに戦わされて

非戦のくせに普通に法を破るよ

民衆が幸せじゃないのは、嘆いているのは

ここが民主主義じゃないっていう証なのかな

盲目にされたせいでわかんないよ

助けてヒーロー


くたばって仕舞えば、楽なんだってさ

自分に価値がないって、打ちのめされるばかりだ

好かれたいわけじゃない、嫌われたくないわけじゃない

誰かに褒めて欲しい

ただそれだけなんでしょう?

やっぱりその一言が欲しいだけなんだよ

救世主に手紙を送る毎日


勇者たちは、投げ捨てた過去を

たまに思い出しては

張り裂ける心を筆に込めて

また綴っていった

その気持ちも届かないのは

たかるハエに遮られるから、覆い尽くされるから

吐き気が差すよ


俺たちは勇者

回復なんてもうないぜ

薬草だって買うお金もないぞ

それなのに未だに砂漠を進むのは

心に込めた想いが消えないから

アイツも去ったよ

俺も時期にか

だなんてことは言わないでくれよ


こういうときはさ、背中を叩いて

互いに励ましていこうぜ

まだまだ救世主は現れないから

いつか俺たちが築き上げるもので

ハエどもにも届かないところから

大きな声出して

救世主を目覚めさせてやろうよ

そして、よじ登る彼らを応援するストーリーを描こう

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